売場作りとは?売上を伸ばす基本と今すぐ使える7つのコツ

売場作りとは?売上を伸ばす基本と今すぐ使える7つのコツ

「売り場作り」は、小売業において売上を大きく左右する重要なものです。
顧客が商品と出会い、購入を決定する「売り場」の魅力は、商品の陳列方法一つで大きく変わります。

特に、ドラッグストア、スーパーマーケット、ホームセンターなどの、多品種を扱う店舗運営においては、限られたスペースで効率的に売上を最大化するための戦略的な売り場作りが重要です。
しかし、経験や勘に頼った売り場作りでは、機会損失が生じ、本来伸ばせるはずの売上を取りこぼしてしまう可能性があります。

そこで、この記事では店舗運営部のご担当者様に向けて、「売り場作り」の基本的な考え方から、売上を確実に伸ばすための戦略、そして、今すぐ実践できる具体的な7つのコツをご紹介いたします。

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商品の補充や品出し、棚替え、改装など、様々な頻度で発生する店舗の”売場づくり”をすべてサポートします。

本資料では、サービスの概要や実績などをまとめて紹介しております。ぜひご覧ください。

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売場作りとは?

売場作りとは、店舗内における商品の陳列・演出・配置などを戦略的に設計し、顧客の購買意欲を喚起するための仕組みを整えることを指します。

「誰に、何を、どう見せるか」を明確にした上で、導線設計や陳列の高さ、POP、照明など、五感に訴える要素を組み合わせて、最適な売場を構築することが求められます。
単に、商品を棚に並べる作業ではないことに注意しましょう。

店舗全体の価値と顧客体験を高めるためのマーケティング活動の中心的な要素であるといえます。
特に近年では、購買行動の多様化に伴い、消費者が「何を買うか」だけでなく「どこで買うか」「どのような体験を通じて買うか」を重視する傾向が強まっており、売場自体がそのまま「ブランド体験の場」としての役割を担うようになっています。

このような背景を踏まえ、商品部では、売場作りを単なる陳列作業ではなく、マーケティング戦略の一環として位置づけ、顧客視点に立った売場設計を推進することが重要です。

売場作りの目的

売場作りの究極的な目的は、売上の向上と顧客満足度の向上の二つに集約できます。

売上の最大化

売場作りの最大の目的は、「売上の最大化」にあります。
具体的には、来店客の購買意欲を高め、滞在時間を伸ばし、購入点数や単価を増やすことによって、店舗の収益を高めることです。

まず、売場は「無言の販売員」とも言われるように、陳列やレイアウトを通じて、商品自体が価値を語り、顧客の行動を促します。
たとえば、旬の商品を店頭で目立つように配置したり、関連商品をまとめて並べて「ついで買い」を促したりすることで、販売機会を効果的に創出することが可能です。

顧客満足度の向上(ブランドイメージの向上)

売場作りにはもう一つ大きな目的があります。
それは「顧客満足度の向上」、ひいては「ブランドイメージの向上」です。

顧客が店内で商品を探しやすく、買い物が快適に感じられる環境は、満足度を大きく左右します。
売場が混雑していたり、陳列が雑然としていたりすれば、顧客はすぐに離脱し、リピート率の低下にもつながるでしょう。

整然とした売場、わかりやすい商品案内、清潔感のある陳列は、商品そのものの価値を引き立てるだけでなく、店舗ブランドへの信頼感を醸成します。
また、季節感や地域性を取り入れた演出により、「このお店はよく考えられている」と感じてもらえれば、競合との差別化にもつながります。

さらに、店舗全体としての一貫した売場設計とビジュアル・マーチャンダイジング(VMD)によって、店舗や企業としてのブランディング強化も実現できます。

売場作りが重要視される理由

小売業において売場作りがこれまで以上に重要視されるのは、業界を取り巻く構造的な変化と競争の激化があるためです。

人手不足と生産性向上の必要性

小売業界では、少子高齢化による労働人口の減少に加え、長時間労働や低賃金などの構造的な課題から、慢性的な人手不足が深刻化しています。
お客様の動線を意識した「一筆書き」のような配置を行うことで、短時間で必要な商品を見つけやすくなり、従業員が顧客に対応する手間と時間を削減できます。

また、商品カテゴリごとにわかりやすい陳列を心がけることで、陳列や補充作業も効率化できます。

顧客の購買行動の変化と実店舗の役割

EC(電子商取引)の勢力拡大により、お客様が「店舗まで足を運ぶ理由」は変化しています。
単に商品を手に入れるためであればオンラインで十分な時代だからこそ、リアル店舗ならではの価値が求められているのです。

体験と衝動買いを促せる

実店舗は、お客様が実際に商品を見て、手に取り、買い物自体を楽しむことができる場所なため、衝動買いが生まれやすい場所だといえます。

安心感と信頼感の提供

店員と直接、顔を合わせて商品について質問できる安心感や、商品の陳列から店舗のコンセプトが伝わることで、ブランドへの信頼感を醸成できます。

激化する競争と差別化戦略の重要性

同業他社や異業種間の競争が激化する中で、他店との差別化を図ることは必須です。
商品の品揃えや価格だけでなく、「このお店で買いたい」と思わせる独自の魅力的な売場こそが、強力な差別化要因となります。

定期的なレイアウト変更は「新しい商品があるかも」という期待感を生み、お客様を飽きさせない工夫にもなります。

多くの店舗が抱える売場作りの課題

戦略的な売場作りの重要性が増す一方で、現場では理想通りに実践できていないケースが少なくありません。
特に、店舗運営部の皆様が日々、直面している売場作りの課題の要因は、主に「人」と「データ」にあります。

以下に、よく見られる3つの代表的な課題を解説します。

課題1:人手不足で売場の維持・改善まで手が回らない

慢性的な人手不足は、小売業界全体が直面している深刻な問題です。
品出し、接客、レジ対応などのオペレーションに追われる中、売場の維持・改善にまで手が回らないという声は現場から頻繁に聞かれます。

特にドラッグストアやスーパーマーケットでは、売場面積が広く、商品数も膨大なため、ほんのわずかな陳列の乱れや欠品が売上に大きく影響します。
にもかかわらず、店舗スタッフの時間や労力は限られており、計画的な売場改善にまでリソースを割けないのが現実です。

課題2:売場作りの専門知識・ノウハウを持つ人材がいない

売場作りは経験と感性に頼る部分も多く、属人化しやすい領域です。
そのため、担当者が異動・退職すると、ノウハウが継承されず、売場品質が低下してしまうケースも少なくありません。

また、VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)やゾーニング、ゴールデンラインなどの基礎知識が現場に浸透していないと、戦略的な売場設計が難しくなり、結果として「とりあえず並べた」だけの非効率な売場になってしまいます。

課題3:データに基づいた客観的な分析ができていない

売場改善に必要なのは「現場の感覚」だけではなく、「データに基づく客観的な判断」です。
たとえば、どの売場でどの商品がどれだけ売れているか、在庫回転率はどうか、欠品や過剰在庫の発生傾向はあるかといった情報は、適切な売場戦略を考える上での土台となります。

しかし、実際にはPOSデータや理論在庫データを分析し切れておらず、「なんとなく売れている」「最近売上が落ちてきた」といった感覚ベースの対応に留まってしまっている店舗も多く存在します。

売上を伸ばす売場作りの3大要素

売上を伸ばすための売場作りでは、以下の3つの要素をバランスよく組み合わせることが大切です。

1.顧客導線と回遊性を決める「レイアウト」

店舗内の通路幅、陳列什器の配置など、お客様が店内をどのように歩き、どこに立ち寄るかを決める骨組みが「レイアウト」です。

レイアウトの目的は、お客様がストレスなく回遊できる動線を作り、より多くの商品に目を留めてもらうことです。

2.商品の魅力を引き出す「陳列(ディスプレイ)」

「陳列(ディスプレイ)」とは、商品を棚や什器に並べる際の量、高さ、配列、フェイス(商品の正面)の向きといった、商品の見せ方全般を指します。

陳列(ディスプレイ)の目的は、顧客の視認性を高め、商品の特徴や魅力を最大限に引き出し、購買意欲を刺激することです。

3.購買意欲を後押しする「販促(POPなど)」

POP広告、デジタルサイネージ、プライスカード、ポスターなど、視覚的に商品の情報やセール情報を伝えるツールで、購買意欲を後押ししましょう。
販促(POPなど)の目的は、商品の価値、特長、価格の安さ、お得感などを簡潔に訴求し、最終的な購入の決断を後押しすることです。

今すぐ使える!売場作りの7つのコツ

ここで、ドラッグストア、スーパーマーケット、ホームセンターなどの店舗運営に携わる方が、今日から実践できる、売場作りの7つのコツをご紹介します。

コツ1:顧客の「入りやすさ」と「見やすさ」を意識する

売場への入りやすさと進みやすさを考え、通路幅を確保しましょう。
カートやベビーカー、車椅子のお客様でもすれ違いやすいよう、十分な通路幅を確保し、ストレスなく回遊できる環境を作ることが基本となります。

また、商品の見やすさのためには、整理整頓された陳列が基本です。
カテゴリやサイズ、ブランドごとに商品を分類し、どこに何があるかが一目でわかるようにすることで、リピーター獲得も期待できます。

コツ2:ゴールデンゾーンを最大限に活用する

ゴールデンゾーンとは、お客様が最も商品を手に取りやすい、目線の高さから腰の高さ(身長160~170cmの成人が自然な姿勢で目にする、床から約75~135cm)が該当します。

ここに、「売りたい商品」「利益率の高い商品」「新商品」「一押しの商品」など、最も注力したい商品を配置し、集中的にアピールしましょう。

ゴールデンゾーンについて詳しくは、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】
ゴールデンゾーン活用術!基本と売上を伸ばす陳列テクニックを紹介

コツ3:テーマ性を持たせ、関連商品をまとめて配置する

「関連陳列(クロスセル)」や「テーマ設定」により、来店客の利便性を向上し、「ついで買い」を促しましょう。

関連陳列(クロスセル)

お客様が購入を検討している商品と関連性の高い商品を隣接して陳列することで、ついで買いや衝動買いを誘発します。

例)バーベキューセットの近くに、紙皿・割り箸・保冷バッグなどを配置する。

テーマ設定

売場全体に明確なテーマを設定し、統一感を持たせることで、商品の魅力をより効果的に伝えることができます。

コツ4:顧客を惹きつける「磁石売場」を作る

磁石売場とは、お客様の来店目的となる集客力(吸引力)の高い定番商品や、特売品などを店舗の奥や通路の突き当りなど、戦略的な場所に配置することで、「マグネットコーナー」とも呼ばれます。

この磁石売場を目指して歩く間に、来店客がほかの商品にも目を向け、手に取ってもらう機会を増やしましょう。

「磁石売場」について詳しくは、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】】
磁石売場(マグネット売場)とは?顧客が自然と集まる売場作りの4つのポイント

コツ5:季節感やイベントを取り入れた演出を心掛ける

入学式、運動会、クリスマスなどのシーズンやイベントを考慮し、それらに合わせた商品を店頭や目立つ場所に展開しましょう。

シーズン品は、必要とされる2~3ヵ月前から売場に並べることで、お客様の意識に刷り込み、買い忘れを防ぐ効果が期待できます。

コツ6:POPを活用して商品の価値を伝える

POPは、お客様の動線や視線を意識した場所に設置し、商品の特徴やメリットを端的に伝えることが重要です。

価格だけでなく、「時短になる」「健康に良い」といった商品の付加価値や、人気商品であることを伝えるキャッチコピーを添えることで、購買意欲をより強く刺激できます。

コツ7:定期的に効果測定を行い、改善を繰り返す

「陳列を変えたら売上がどう変わったか」をPOSデータなどで測定し、客観的なデータに基づいたPDCAサイクルを回し、改善を繰り返すことで、属人化を防ぎ、販売力を高めることができます。

なお、陳列は固定せず、定期的に変更することで、お客様に新鮮な印象を与え、常に新しい発見を提供し続けることが重要です。

売場作りの課題解決に!エイジスグループのマーチャンダイジングサービス

人手不足やノウハウの属人化といった売場作りの構造的な課題を解決するには、専門的な知見と効率化のためのソリューションの活用が不可欠です。

  • 店舗作業の代行…商品の補充、前出し、陳列変更といった現場の作業を代行することで、店舗社員様のコア業務(接客販売・顧客分析など)への集中を可能にし、人手不足による業務負荷を軽減します。

エイジスグループが提供するマーチャンダイジングサービスは、小売業の現場を知り尽くしたプロフェッショナルが、以下のような課題解決をサポートします。

  • 棚割・VMDの実現お客様の商品部で作成された棚割りを、期日通りに売場実現いたします。
  • 売場データ分析のサポート棚卸データとPOSデータを組み合わせ、売場ゴンドラを診断するPASPlanogram Assessment System)を提供できます。

これにより、商品部の皆様は、戦略立案と管理業務に注力できるようになり、属人化しない、データに基づいた持続可能な売場作りが実現します。

エイジスの「マーチャンダイジング」サービスについて、詳しくは下記ページをご覧ください。
https://service.ajis.jp/service/merchandising.html

まとめ

「売場作り」は、単なる作業ではありません。

人手不足やデータ活用の遅れといった課題に直面する今だからこそ、「レイアウト」「陳列」「販促」の3大要素を見直し、今すぐ使える7つのコツを実践することが、売上向上への近道となります。

戦略的な売場作りを通じて、お客様にとって魅力的なショッピング体験を提供し、ぜひ貴社の持続的な売上向上を実現してください。

編集者

株式会社エイジス

株式会社エイジスは、国内棚卸サービスのリーディングカンパニーとして、全国83拠点を展開。3,000社を超える企業との取引実績を誇り、確かな信頼関係を基盤に、店舗運営や店舗販促活動を多面的に支援しています。

さらに、アジアを中心に海外にも営業拠点を広げ、グローバルな小売業支援にも取り組んでいます。米国では、アジア各国の小売業ニーズに応えるためのサービス開発や研究にも力を入れており、 国内外で蓄積したノウハウを活かして、流通業界の課題解決に貢献しています。

AJIS

監修者

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦美浩

1987年に東北大学卒業後、損害保会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長などを経て、2011年には商業界取締役就任 チェーンストア各社の社内教育を担当する教育支援事業などを担当。その後、2017年に独立しロジカル・サポート㈱を設立し、2020年にエイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)。長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。 従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。 従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦美浩

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