磁石売場(マグネット売場)とは?顧客が自然と集まる売場作りの4つのポイント

磁石売場(マグネット売場)とは?顧客が自然と集まる売場作りの4つのポイント

「お店に立ち寄ってくれるお客様はいるけれど、特定の売場を素通りしてしまう…」
「お客様の購買点数を増やし、客単価を向上させるにはどうすれば良いのだろうか…」
といった課題をお持ちではないでしょうか。

お客様を惹きつけ、意図した場所へ誘導し、購買意欲を高める売場づくりは、小売業にとって永遠のテーマです。

戦略的な売場配置は、店舗の収益性を大きく左右します。
特に、計画的に配置することで来店客の歩行動線を長くし、結果的に購買点数を増やす効果が期待できるのが「磁石売場(マグネット売場)」です。

この記事では、顧客を自然と集め、店内に長く留まらせる「磁石売場」の基礎知識から、集客力の高い売場作りのための4つの具体的なポイントをご紹介いたします。

エイジスのマーチャンダイジングサービス

商品の補充や品出し、棚替え、改装など、様々な頻度で発生する店舗の”売場づくり”をすべてサポートします。

本資料では、サービスの概要や実績などをまとめて紹介しております。ぜひご覧ください。

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磁石売場(マグネット売場)とは?

磁石売場(マグネット売場)とは、お店側が顧客を磁石のように引き付け、店内を意図した方向へ誘導するための特別な売り場のことです。

戦略的な配置により、来店客に満足度の高い買い物体験を提供しつつ、来店客の歩行動線を長くし、結果的に購買点数を増やす効果が期待できます。

磁石売場は、役割に応じて主に4つの種類に分類できます。

第一磁石(マグネット)売場

第一磁石(マグネット)売場とは、店舗の主通路沿いなど、来店客の7080%を通過させる役割を持つエリアです。

このエリアには、お客様を店内奥へ誘導するための引き付け役として、以下のような商品を配置しましょう。

  • 買上率の高い商品
  • 客層を限定しない商品(購入することが来店動機に直結する商品ドラッグストアの医薬品、スーパーマーケットの青果・精肉・鮮魚など)
  • 購買頻度の高い商品
  • 気軽に買える価格帯の商品

第二磁石(マグネット)売場

第二磁石(マグネット)売場は、来店客を奥へ奥へと自然に誘導し、店内の探索を促すエリアです。
具体的には、各通路の突き当たりなどがこれに該当します。
POPなどの販促物の活用がカギとなります。

顧客が一度、立ち止まれば、その周辺の売場にも目が届き、波及効果をもたらすため、売場設計のハブ的存在としての機能が重要です。

第二磁石(マグネット)売場には、以下のような商品を配置しましょう。

  • 特価品、セール品
  • 季節商品(例:お中元・クリスマス・花粉対策・夏祭り関連品など)
  • 他社との差別化を図る専門性の高い商品(地域特産品、直輸入品など)
  • SNSやメディアで話題になった一時的に強い需要のある商品
  • メーカーが新発売した注目の商品
  • プライベートブランド(PB)商品(独自性や価格訴求力が高い商品)

第三磁石(マグネット)売場

第三磁石(マグネット)売場は、棚の端である「エンド」と呼ばれる売り場のことです。
プロモーションに向いており、話題性・季節性・購買頻度・「立ち止まらせる力」を重視した商品選びが求められます。

第三磁石(マグネット)売場には、以下のような特徴にマッチした商品を配置しましょう。

①ニュース(新製品)

発売直後の商品を中心に展開し、トレンド感を演出しましょう。
消費者に「今、買うべき理由」を与えるため、POPや試供品などの訴求も有効です。

②ディスカウント(低価格)

価格訴求による集客力は根強く、特に日用消耗品などのリピート商材と相性が良いです。
まとめ買いの促進にもつながります。

③ホット(話題性)

SNSやメディアで話題になっている商品を集めます。
流行に敏感な顧客を惹きつけ、購買意欲を刺激しましょう。

④シーゾナル(季節性)

季節行事や天候に応じた商品構成で、買い逃しを防ぎます。
行事前の一定期間だけの展開で「今だけ感」も演出できます。

⑤ライフスタイル(新提案)

お客様に新しい使い方や価値観を提案する売場で、たとえば「快眠グッズ特集」や「防災用品セット」など、コンセプト提案型の売場として機能しましょう。

⑥コレクション特売(購買頻度が低い高単価商品を期間限定で特売)

日常的には手が出しにくい高単価商品を、期間限定でセット販売や割引販売することで、来店目的を創出しましょう。
また、第三磁石(マグネット)売場に並べた商品は、13週以内に売り切ることが前提となります。

なお、「エンド」について詳しくは、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】
小売店の「エンド」売場とは?エンドの種類や小売店の意図・役割について解説

第四磁石(マグネット)売場

第四マグネット売場とは、定番ゴンドラ間の通路部分を指します。
主通路より通行人数は少ないものの、じっくり商品を選びたい顧客が通る導線として活用できます。

ここには、定番商品や、カテゴリ内の売れ筋・購買頻度が高い商品、主要ブランドや自信のある商品を意図的に大量陳列して配置するのが効果的です。

第四磁石(マグネット)売場には、以下のような商品を配置しましょう。

  • 定番商品(カテゴリの中心となる、常時品揃えしている主要商品)
  • 売れ筋・人気ブランド商品(カテゴリ内でも販売数が高い商品)
  • 購買頻度が高い商品(日用品・食品など)
  • お客様にとって特に有利な商品、プライベートブランドなどの開発商品、目玉商品
  • 新規導入した推奨商品(購入を促したい新商品)
  • じっくり商品比較を行いたい消費者向け商品群

顧客が自然と集まる磁石売場(マグネット売場)作りの4つのポイント

戦略的に磁石売場を機能させるためには、単に商品を置くだけでなく、顧客の心理と動線に合わせた工夫が必要です。

ポイント1:思わず立ち寄りたくなる「視認性」と「魅力的なテーマ」

顧客の関心を惹くためには、遠くからでも目立つ「視認性」が極めて重要です。

  • 色の戦略的な活用…壁紙や什器、陳列商品のパッケージの色を変えることで、ほかの売場とのコントラストを生み出し、注目を集めましょう。
  • 構造物・展示物の活用…構造物や展示物を利用して、遠くからでも「何かある」と感じさせ、「場の工夫」で注目を集めましょう。
  • テーマ設定…季節やイベント、ライフスタイルに合わせたテーマを設定することで、売場自体にストーリーが生まれ、顧客の興味を引くことができます。

ポイント2:トレンドや季節感を反映した「話題性のある商品展開」

特に第三磁石(マグネット)売場では、話題性や季節感を反映させた商品展開が顧客の購買意欲を刺激します。

  • 店頭販促の実施…タイムリーな店頭販促(POPやデモなど)を実施することで、売場に活気を与え、顧客を引き付けましょう。
  • 品揃えの工夫…顧客のニーズを先読みした品揃えの工夫は、売場への関心度を高めましょう。

ポイント3:商品の価値を引き出す「効果的な陳列と演出(VMD)」

効果的な陳列(VMD:ビジュアル・マーチャンダイジング)によって、商品の魅力を最大限に引き出し、立ち止まった顧客の「ついで買い」を促進します。

  • 陳列面の工夫…販売したい商品の陳列面を広げる、または顧客の目線が集まりやすい中央に陳列することで、視認性と購買率を高めましょう。
  • 関連陳列…特定の磁石売場で引き付けた顧客に対し、関連性の高い商品を近くに陳列し、「ついで買い」の機会を創出しましょう。

「VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)」について詳しくは、下記の記事をご覧ください。

【関連記事】
VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは?基本や効果的に行う方法を解説!

ポイント4:「体験価値」の提供で顧客の興味を引く

デジタル時代において、実店舗の役割は「購入場所」から「体験場所」へと変化しています。
店舗に来店すれば、体験できることを価値として設定しましょう。

  • 試飲・試食…顧客が実際に商品を体験できる場を設けることで、商品への信頼感と購買意欲を向上させます。
  • デモンストレーション…使用方法や利用シーンを具体的に示すデモンストレーションは、特定の商品群への強い磁力となります。

磁石売場(マグネット売場)に適切な配置

磁石売場は、それぞれの役割を理解した上で、店舗全体の動線を考慮して戦略的に配置する必要があります。

店舗の奥へ顧客を誘導する「主磁石」の配置

主磁石となるのは、日配品や生鮮食品など、来店客が必ず購入する必需品売場です。
これらを店舗の奥や隅に配置することで、お客様は店舗全体を回遊せざるを得なくなり、ほかの磁石売場を通る機会が増加します。

顧客の回遊性を高める「副磁石」の配置

副磁石とは、季節商品やプロモーション商品、話題性のある商品を扱う売場のことです。

副磁石を主通路沿い(第一磁石)や主動線の途中(第二・第三磁石)に分散配置することで、顧客の回遊性を高め、計画的な歩行ルートからの逸脱を促せます。

ついで買いを促進するレジ前の小型磁石

レジ前は、お客様が購入を最終決定する段階での「小型磁石」として極めて重要です。

ガムや電池、季節の小袋菓子など、衝動買いしやすい低単価な商品を配置し、「ついで買い」の機会を最大化しましょう。

多くの店舗が抱える磁石売場作りの課題

磁石売場の重要性は理解しつつも、大手小売業の本部では、以下のような課題に直面しているケースが少なくありません。

人手不足で魅力的な売場を維持できない

日本の労働人口の減少に伴い、小売業でも特に日々の陳列・メンテナンス・VMDを実施する現場の人手不足は深刻です。

魅力的な売場を作っても、それを維持するマンパワーが不足し、売場の鮮度が落ちてしまうという課題が存在します。

売場作りのノウハウや専門知識が不足している

「売場作り」は経験と属人的なノウハウに依存しがちです。

効果的な磁石売場の配置や、VMDの専門知識を持つ人材が不足しているため、店舗間で売場作りの質にばらつきが生じてしまいます。

効果測定ができず、改善サイクルが回らない

お客様の歩行動線や、どの磁石売場で立ち止まったかなどのデータを正確に測定・分析できていない場合、売場作りの施策が「勘」や「経験」に頼ったものになってしまいます。

科学的な効果測定ができなければ、PDCAサイクルを回し、売上改善に繋げることが困難です。

売場作りの課題解決に!エイジスグループのマーチャンダイジングサービス

これらの課題を解決し、店舗運営の効率化と売上向上を両立させる手段として、外部の専門的なマーチャンダイジングサービスの活用が有効です。

たとえば、エイジスグループでは、小売業の現場を知り尽くしたプロフェッショナルとして、以下のサービスを提供しています。

  • 磁石売場のお客様の商品部で考案の磁石売場プランに基づく売り場を実現します。
  • プロによる売場メンテナンス代行人手不足の現場に代わり、VMDの専門知識を持ったスタッフが、陳列・棚割りの正確な実行と売場の鮮度維持をサポートします。
  • 標準化された陳列の実現全店舗で統一された質の高い陳列を維持し、店舗間のバラつきを解消します。

戦略的に魅力ある売場を実現するためには、店舗運営の課題を外部サービスで補い、リソースを最も重要な顧客体験の向上に集中させることが、大手企業が持続的に成長するための鍵となります。

エイジスのマーチャンダイジングサービスについて、詳しくは下記ページをご覧ください。
https://service.ajis.jp/service/merchandising.html

まとめ

本記事では、小売業の売上向上に不可欠な「磁石売場(マグネット売場)」の基礎知識と、顧客を自然と集める4つのポイントをご紹介しました。

  • 磁石売場には、役割に応じた第1から第4までの種類があり、計画的な配置が購買点数を高めます。
  • 売場作りのポイントは、視認性・話題性・VMD・体験価値の4つの要素を戦略的に組み合わせることです。
  • 多くの店舗が抱える人手不足やノウハウ不足の課題は、外部の専門サービス(エイジスのマーチャンダイジングサービスなど)の活用によって解決可能です。

これらを活かすことで、単なる陳列ではなく“顧客を動かす売場”を実現できます。

特に、ドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターといった業態では、買い回りを促進する導線設計の中に磁石売場を戦略的に散りばめることが、顧客満足度の向上にも大きく貢献します。

今後の店舗運営において、「顧客が思わず引き寄せられる」売場づくりは、他店との差別化を図る上でも重要な武器となるでしょう。

ぜひ今回の内容を参考に、自店舗に最適な磁石売場の設計を進めてみてください。

編集者

株式会社エイジス

株式会社エイジスは、国内棚卸サービスのリーディングカンパニーとして、全国83拠点を展開。3,000社を超える企業との取引実績を誇り、確かな信頼関係を基盤に、店舗運営や店舗販促活動を多面的に支援しています。

さらに、アジアを中心に海外にも営業拠点を広げ、グローバルな小売業支援にも取り組んでいます。米国では、アジア各国の小売業ニーズに応えるためのサービス開発や研究にも力を入れており、 国内外で蓄積したノウハウを活かして、流通業界の課題解決に貢献しています。

AJIS

監修者

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦美浩

1987年に東北大学卒業後、損害保会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長などを経て、2011年には商業界取締役就任 チェーンストア各社の社内教育を担当する教育支援事業などを担当。その後、2017年に独立しロジカル・サポート㈱を設立し、2020年にエイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)。長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。 従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。 従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦美浩

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