VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは?基本や効果的に行う方法を解説!

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは?基本や効果的に行う方法を解説!

ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)とは、売場や商品陳列を視覚的に整え、お客様の購買意欲を高めるための店舗運営手法のことです。

特に競争の激しいドラッグストア業界では、顧客の目を引き、商品を効果的に訴求するVMDの戦略的な導入が、売上向上やリピート率向上の鍵となります。

最近では、VMDの役割は単に見た目を整えるだけでなく、顧客体験の設計や店舗ブランディングにまで広がっており、小売業界内で注目度が高まっています。

本コラムでは、VMDの基本概念から効果的な活用方法、業界別の活用事例までを解説いたします。

エイジスのマーチャンダイジングサービス

商品の補充や品出し、棚替え、改装など、様々な頻度で発生する店舗の”売場づくり”をすべてサポートします。

本資料では、サービスの概要や実績などをまとめて紹介しております。ぜひご覧ください。

エイジスのマーチャンダイジングサービス

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは?

ビジュアルマーチャンダイジング(以下、VMD)とは、売場や商品陳列を視覚的に整え、お客様の購買意欲を高めるための店舗運営手法です。
単に商品を並べるのではなく、商品の見せ方を通じて「買いたくなる空間」を創出することが目的です。

VMDは、視覚を通じた販売促進であり、お客様が店舗に入った瞬間から、どのような体験をするかを計算して売場を設計します。
商品の配置や配色、照明、POPのデザインなどを総合的にコントロールすることで、店舗の魅力を最大限に引き出します。

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とディスプレイとの違い

VMDと「ディスプレイ」はしばしば同義で使われますが、実際にはその範囲と役割に明確な違いがあります。

ディスプレイは、主に商品を「見せること」に焦点を当てた陳列技術で、たとえば特設コーナーや季節商品の演出などが該当します。
一方で、VMDはそのディスプレイを含む、より広い視点で売場全体を計画する概念です。

つまり、VMDは「店舗全体の視覚的設計」ともいえます。
入口からレジ周辺まで、お客様の導線や滞在時間を踏まえて、どこで何をどう見せるかを戦略的に構築するのがVMDなのです。

VMDの基本となる3つの要素

VMDでは、「VP」「PP」「IP」と呼ばれる3つの要素を適切に組み合わせることが基本とされています。

これらはそれぞれ異なる目的を持ち、売場全体の印象や購買導線に大きな影響を与えるため、VMDを効果的に運用するためには、この3要素の理解が欠かせません。

VP(ビジュアルプレゼンテーション)

VP(ビジュアルプレゼンテーション)とは「Visual Presentation」の略で、店舗の入口付近やショーウィンドウなど、お客様が最初に目にするエリアで展開される視覚的な演出を指します。

VPは、入店率を左右します。
たとえばドラッグストアであれば、春の花粉対策や夏のUVケアなど、季節やタイミングに合わせたテーマを視覚的に打ち出すことで、立ち寄ったお客様の注意を引き、店内への誘導につなげる効果が期待できます。

PP(ポイント・プレゼンテーション)

PP(ポイント・プレゼンテーション)とは「Point Presentation」の略で、実際に商品を手に取って購入に至る売場エリアでの演出を指します。

売場の中で「買いたくなる環境」を作るための施策であり、POPや陳列什器、価格表示、商品間の比較表などが主な構成要素です。

PPは、店内の回遊率を左右します。

IP(アイテムプレゼンテーション)

IP(アイテムプレゼンテーション)とは、「Item Presentation」の略で、商品カテゴリーごとの陳列や在庫配置の方法を表します。
商品を来店客に見やすく、選びやすく、買いやすくするための陳列を指します。

最も基本的かつ実務的なレベルのVMD要素であり、数量の確保、陳列ルール、補充のしやすさなども考慮されるべきポイントです。

多種多様な商品を扱う小売店では、IPの精度を高めることが重要です。
顧客が商品を探しやすくなるだけでなく、店舗スタッフの作業効率も向上し、無駄な対応や陳列ミスを減らすことにもつながります。

VMDを効果的に行う5つの方法

ここでは、VMDを効果的に実施するための5つの重要なポイントをご紹介します。

ディスプレイの3つの基本法則を守る

ディスプレイには、次の3つの基本法則があります。

  • 左右対称: 安定感があり、美しく見えるため、お客様に安心感を与えます。
  • 繰り返し:同じ商品やモチーフを繰り返して配置することで、目立たせたい商品を強調できます。
  • 三角形:形や大きさが異なる商品を並べる際は、高さを変えて三角形を作ることで、バランスの取れた見やすい陳列になります。

これらの法則を意識することで、視認性が向上し、お客様が自然に商品へと手が伸びるような購買導線を築くことができます。

顧客視点で売り場を作る

VMDで最も重要なのは「誰のための売場か?」という視点です。

多くの小売店では、来店者が「時間をかけずに効率よく買い物をしたい」「安心して商品を選びたい」といったニーズを持っています。

そのため、以下の点を意識した売場作りが求められます。

  • 商品を探す手間を減らす明確な案内表示
  • 一目で用途が分かるパッケージと陳列の工夫
  • 季節やライフスタイルに合わせた提案型の棚づくり

このように、「顧客の立場」で歩きながら確認することが、改善の第一歩になります。

店舗コンセプトを明確にする

VMDは視覚的演出であると同時に、「ブランドの顔」を作る施策でもあります。
店舗ごとのコンセプトが不明確だと、顧客にとって印象に残りにくくなります。

たとえば、健康志向をテーマにしている店舗であれば、「ナチュラル」「清潔感」「安心感」が伝わる配色や什器デザインを採用するなど、すべての表現がそのコンセプトに即している必要があります。

コンセプトが明確になることで、VMDの方針もブレずに定まり、他店との差別化にもつながります。

計画・実施・分析のサイクルを回す

VMDもほかのマーケティング施策と同様に、「PDCAサイクル」の運用が不可欠です。
以下に、ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)におけるPDCAサイクルの例を挙げます。

  • 計画(Plan):シーズンや販促イベントに合わせたVMDプランを立てる
  • 実施(Do):現場で実装し、スタッフ間で共有する
  • 分析(Check):売上変動や来店動線の変化などを可視化して検証する
  • 改善(Action):課題をもとに次回のVMD施策を最適化する

VMDを「一度やって終わり」にしないことが、継続的な売場改善と売上向上につながります。

マニュアル化とスタッフへの浸透

どれだけ優れたVMDプランを立てても、それが現場で正確に再現されなければ意味がありません。
そのためには、「マニュアル化」と「教育・浸透」が不可欠です。

手順としては、次のように行うと良いでしょう。

  1. 陳列ルールや変更手順をマニュアル化する
  2. 写真付きのレイアウトガイドを整備する
  3. 新人スタッフにも伝わるシンプルな運用体制を整える

特に店舗数の多いドラッグストアチェーンでは、標準化と品質維持のためにも、現場で運用しやすいフォーマットを整備することが重要です。

【業種別】VMDの活用例

ここでは、さまざまな業態におけるVMDの活用の方向性を見てみましょう。

スーパーマーケット

スーパーマーケットでは、「鮮度」や「お得感」の演出が重要です。
青果コーナーにおける山積み陳列や、季節感を出す装飾、特売品のアイキャッチPOPなどが代表的な手法です。

また、冷蔵ケースや精肉・鮮魚コーナーでは、清潔感と商品情報の明確化がVMDの大きな役割を果たします。
視覚だけでなく、「安心感」や「信頼感」を醸成する設計が求められるのが特徴です。

ドラッグストア

ドラッグストアでは、VMDは「商品探しのしやすさ」と「提案力の強化」の両立が鍵となります。

商品点数が多いため、カテゴリーごとの色分けや棚ラベリングの整備が重要です。
また、季節に応じたテーマ展開(例:花粉症対策、熱中症対策)や、ライフスタイル別の提案型陳列(例:働く女性向けコーナー)など、顧客の課題解決を意識した売場作りが求められます。

ホームセンター

ホームセンターでは、商品サイズが大きくバラつきもあるため、ゾーニングと導線設計がVMDの中心となります。

たとえば「DIY」「園芸」「防災」など、テーマ別に売場を区切ることで、目的買いのしやすさが向上します。

また、使用シーンを想起させるような「ライフスタイル提案型陳列」や、「セット販売」の工夫も売上アップに貢献します。
特に新規購入者にとっては、商品同士の関連性が明確な売場ほど安心して選びやすくなります。

コンビニエンスストア

コンビニエンスストアにおけるVMDは、限られたスペースを最大限に活用し、顧客の利便性を高めることが重要となります。

たとえば、新商品やキャンペーン商品は、顧客の目に留まりやすいレジ横や棚の最上段に陳列しましょう。
また、顧客が短時間で買い物を済ませられるよう、商品カテゴリーごとに明確なサインを掲示することもVMDの一環です。

このように、顧客の動線を考慮したレイアウトや陳列を行うことで、販売機会の最大化を図ることが可能です。

アパレル店舗

アパレル店舗におけるVMDは、ブランドの世界観を表現し、顧客に「買いたい」と思わせる雰囲気を創り出すことが重要です。

たとえば、店舗の入り口付近にマネキンを用いて最新のコーディネートを展示する「ディスプレイ」や、商品のテーマや色合いに合わせて照明や音楽を工夫する「雰囲気づくり」がVMDの典型的な手法です。

これらの手法により、顧客は商品を試着する前から、その商品の魅力を感じることができるでしょう。

魅力的な売場を効率的に作るならエイジスへご相談ください

ビジュアルマーチャンダイジングの重要性は理解していても、それを実現するための人材やノウハウが不足していると感じる店舗もあるかもしれません。

そこで、エイジスグループのサービスをご検討ください。

集中補充(商品補充・品出し)

店舗スタッフに代わって商品の補充や品出しを行います。
開店前やピークタイムに作業を完了させることで、売り場の状態を最適に保ちます。
これにより、店舗スタッフは接客や販売といったコア業務に集中でき、売上アップにつなげることが可能です。

エイジスの「集中補充(商品補充・品出し)」サービスについて、詳しくは下記ページをご覧ください。
https://service.ajis.jp/service/merchandising/display-replenishment.html

季節の棚替え・カテゴリーリセット

当社の専門チームが、店舗スタッフに代わって棚替えを迅速に実行します。
営業中に作業が可能なため、販売機会を失う心配もありません。52週MD計画に基づいた棚替えも、短期集中で正確に完了させます。

エイジスの「季節の棚替え・カテゴリーリセット」サービスについて、詳しくは下記ページをご覧ください。
https://service.ajis.jp/service/merchandising/display.html

新店準備・改装リモデル・閉店作業

新店オープンや改装、閉店に関わるあらゆる業務をエイジスグループが一括して承ります。
事前の打ち合わせから、什器の設置、商品陳列に至るまで、全てを専門チームが代行します。営業中や深夜の作業も可能なため、店舗を休業する必要がありません。
これにより、販売機会を失うことなく、顧客の離反を防ぎます。

エイジスの「新店準備・改装リモデル・閉店作業」サービスについて、詳しくは下記ページをご覧ください。
https://service.ajis.jp/service/merchandising/display-remodelling.html

まとめ

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)は、単なる売場の装飾や美観の向上にとどまらず、顧客体験の質を高め、店舗の売上やブランド価値に直結する「戦略的な店舗運営手法」です。

たとえば、商品点数が多く、多様なニーズを抱える顧客層を持つドラッグストア業界においては、VMDの導入によって以下のような効果が期待できます。

  • 商品の視認性と回遊性の向上による購買率の上昇
  • 顧客ニーズに合わせた提案型売場づくりによる満足度の向上
  • 季節性やイベントに合わせた柔軟な訴求で来店動機を強化
  • ブランドイメージの統一による信頼感
  • 安心感の醸成

効果的なVMDを実現するためには、基本要素(VP・PP・IP)の理解に加え、業種ごとの特性に応じた活用法、現場で再現可能な仕組み化、スタッフ教育、そして継続的なPDCA運用が不可欠です。

さらに、最近ではデータを活用した棚割最適化や、VMDの可視化・マニュアル化支援ツールなども登場しており、そうした外部サービスの活用も一つの有効な選択肢です。

たとえば、店舗運営を支援するエイジスのサービスを活用することで、現場での負担を抑えつつ、高品質なVMDを維持することが可能です。
VMDの取り組みに課題をお感じの店舗様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

編集者

株式会社エイジス

株式会社エイジスは、国内棚卸サービスのリーディングカンパニーとして、全国83拠点を展開。3,000社を超える企業との取引実績を誇り、確かな信頼関係を基盤に、店舗運営や店舗販促活動を多面的に支援しています。

さらに、アジアを中心に海外にも営業拠点を広げ、グローバルな小売業支援にも取り組んでいます。米国では、アジア各国の小売業ニーズに応えるためのサービス開発や研究にも力を入れており、 国内外で蓄積したノウハウを活かして、流通業界の課題解決に貢献しています。

AJIS

監修者

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦美浩

1987年に東北大学卒業後、損害保会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長などを経て、2011年には商業界取締役就任 チェーンストア各社の社内教育を担当する教育支援事業などを担当。その後、2017年に独立しロジカル・サポート㈱を設立し、2020年にエイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)。長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。 従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。 従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦美浩

関連記事

取引実績3,000社以上のエイジスグループが、店舗運営のお悩みを解決致します!

資料ダウンロード

資料ダウンロード

まずは、サービス資料ダウンロード

資料ダウンロード
お問い合わせ

お問い合わせ

店舗運営のお悩み、お気軽にご相談下さい

お問い合わせ
無料メルマガ登録

無料メルマガ登録

店舗運営に関するお役立ち情報などを配信!

無料メルマガ登録
BACK TO TOP