買い上げ率とは?計算方法や買い上げ率を向上させる方法

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)とは?基本や効果的に行う方法を解説!

店舗運営に携わる皆様にとって、「買い上げ率」は売上を最大化するための最も重要な指標の一つでしょう。

来店したお客様が実際に商品を購入する割合を示す「買い上げ率」は、店舗の魅力を測るバロメーターともいえます。
大手ドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターなどの実店舗では、限られたリソースの中で店舗のポテンシャルを最大限に引き出すことが急務となっており、買い上げ率の改善が経営課題を解決する鍵となります。

この記事では、「買い上げ率」の基本から、正確な計算方法、そして店舗運営部がいますぐ着手できる具体的な向上策までを徹底的にご紹介いたします。

エイジスのマーチャンダイジングサービス

商品の補充や品出し、棚替え、改装など、様々な頻度で発生する店舗の”売場づくり”をすべてサポートします。

本資料では、サービスの概要や実績などをまとめて紹介しております。ぜひご覧ください。

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買い上げ率とは

買い上げ率とは、店舗に訪れた来店客のうち、実際に商品を購入した人数の割合を示す指標です。
特にリアル店舗における接客や売場づくりの効果を測るバロメーターとして用いられています。

買い上げ率と「購入率」「客単価」の違い

買い上げ率と似た用語に「購入率」や「客単価」がありますが、それぞれの意味と使い分けを理解しておくことが重要です。
つまり、買い上げ率は「お客様が何かを買ったかどうか」という“行動”を示すのに対し、購入率は「どの商品を選んだか」、客単価は「どれくらいの金額を支払ったか」を示す指標です。

この3つを組み合わせて分析することで、商品部はより精緻な販売戦略を立てることができます。
たとえば、買い上げ率が低いのに客単価が高い場合、「購入客はしっかり買っているが、購入に至らない来店客が多い」ことを意味します。
この場合は、売場導線の改善やスタッフの声かけ強化など、来店客の購買意欲を高める施策が効果的です。

一方で、買い上げ率が高くても客単価が低い場合には、「多くの人が購入しているが単価の低い商品に偏っている」ことが考えられ、クロスセルやセット販売といった戦略が有効になります。

このように、買い上げ率は単体で見るだけでなく、他の指標と組み合わせて総合的に分析することで、店舗の課題をより明確にし、改善施策を的確に導き出すことが可能です。

買い上げ率の計算方法と目安

店舗の売上を構成する重要な要素である「買い上げ率」を正しく把握するためには、その計算方法を知って算出することが大切です。

基本的な計算式

買い上げ率は、「買上客数」を「来店客数」で割り、100をかけることで求められます。

買い上げ率(%)=購入客数÷来店客数×100

たとえば、ある1日で来店客が500人、そのうち320人が何らかの商品を購入した場合、買い上げ率は次のように計算できます。

320÷500×100=64(%)

つまり、この店舗では来店客の64%が購入に至っている、ということになります。

買い上げ率の計算において最も重要かつ難しいのが、正確な「来店客数」を把握することです。
レジ通過数ではない、店舗に入ったお客様の総数を把握することで初めて、現在の店舗の魅力度を示す真の買い上げ率が算出できます。

買い上げ率が低い4つの要因

商品部が買い上げ率改善に着手する際、まずは要因を特定することが重要です。
買い上げ率が低い店舗で共通して見られる主な要因は、以下の4点です。

顧客導線・レイアウトの問題

顧客が店舗に入ってから購入に至るまでの「導線」がわかりづらかったり、移動しづらい売場構成であったりする場合、買い上げ率は自然と低下します。
たとえば、目玉商品が店の奥まった場所に置かれていたり、売場間の動線が交錯して歩きづらい配置になっていたりすると、お客様は商品を見る前に疲れてしまい、購買意欲を失いやすくなります。

品揃え・商品陳列の問題

来店したお客様が「欲しい商品がない」と感じた瞬間に、買い上げ行動はストップします。
品揃えが不十分である場合、商品数そのものの不足に加え、タイミングや季節性、トレンドなどのズレが原因であるケースもあります。

また、売場に商品が陳列されていても、補充が不十分で在庫切れが目立つようであれば、お客様の信頼を損なう要因になります。

接客・コミュニケーションの問題

店舗スタッフの教育不足やオペレーションの不備は、顧客満足度を低下させ、他店への流出を招く要因です。
質問に対してスタッフが適切に回答できなかったり、親切な対応ができなかったりすると、リピート率の低下だけでなく、その場での購買行動にも悪影響を及ぼします。

情報不足・販促の問題

商品に関する情報が不足している場合や、POP(店頭広告)などが少なく、商品の魅力やメリットがお客様に伝わらない場合、購買意欲が高まりません。
また、市場状況や季節性に合わせた陳列・プロモーションができていない場合も、購入率の低下を招きます。

買い上げ率を向上させる5つのポイント

上記のような課題を解決し、買い上げ率を向上させるポイントを5つご紹介します。

1.顧客導線を意識した魅力的な売場作り(VMD)

VMDとは、商品の陳列・照明・色彩・レイアウトなどを通じて、店舗の魅力を最大化する視覚的販売戦略のことです。
VMDを構成する「VP(ビジュアルプレゼンテーション)」「PP(ポイントプレゼンテーション)」「IP(アイテムプレゼンテーション)」の3要素を駆使し、「入口→特設→売れ筋→会計」など、自然に「買わせる」導線を設計することが重要です。

VMDについて詳しくは、下記の記事をご覧ください。

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2.衝動買いを誘う戦略的な商品陳列

>売れ筋商品を目線の高さやレジ付近など目立つ位置に配置したり、関連商品とともに陳列したりする工夫は、買い上げ率と客単価の向上に直結します。
わずかな陳列の改善でも、お買い上げ率が改善されることは少なくありません。

陳列について詳しくは、下記の記事もご覧ください。

【関連記事】
【店舗売上UP】売れる商品陳列の基本と6つのコツを紹介

3.POPやデジタルサイネージによる情報提供の強化

実際に商品に触れて確認できない実店舗において、POPやデジタルサイネージは商品の魅力を伝える重要な「サイレント接客」の役割を果たします。
商品の独自の機能やサービス、使用例を強調することで、消費者の心を掴み、購入意欲を高めることができます。

4.購買意欲を高める接客

接客は、購買行動の後押しをする上で不可欠な要素です。
特に、試着室やサンプル品、モデル展示の利用を促す声かけは、お客様の購買意欲を高める効果的な施策です。

商品の使い方や特徴を丁寧に説明することで、顧客の不安を解消し、購買意欲を喚起できます。スタッフ教育やマニュアル整備を通じて、接客品質の均一化を図ることも重要です。

5.データ分析に基づく継続的な改善

販売データ(ID-POSデータ)や店頭データ(販売SKUデータ・来店客数・動線データ)を収集・分析し、その結果に基づいたVMD計画や接客、常連客の買物動向に合わせた品揃えの改善を実施することで、施策の効果が増幅します。

店舗運営のPDCAサイクルを回す上で、データドリブンな意思決定は欠かせません。

買い上げ率の向上に!エイジスグループのマーチャンダイジングサービス

買い上げ率の向上は、店舗運営におけるマーチャンダイジングと密接に関わっています。
特に、正確な来店客数の計測、最適な品揃え、そして戦略的な商品陳列(VMD)の実行には、専門的な知見と技術が必要です。

エイジスグループでは、大手小売業様向けに、これらの課題を解決するマーチャンダイジングサービスを提供しています。
データ分析に基づき、売場作りから棚割改善、そして来店客数などの各種データの正確な取得と分析まで、店舗運営の効率化と売上最大化を一貫してサポートいたします。

エイジスグループのマーチャンダイジングサービスについて詳しくは、下記の詳細ページをご覧ください。

https://service.ajis.jp/service/merchandising.html

まとめ

「買い上げ率」は、来店客数と購買客数の差異を可視化し、店舗運営の課題を炙り出す上で非常に重要なKPIです。
特に、大手のドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターといった来店数の多い業態では、少しの改善が売上全体に大きく影響します。
買い上げ率の改善においては、「定量的な計測と分析」「現場での試行錯誤」「効果検証と継続的な改善」のサイクルが鍵になります。そのためにも、店舗内の人流データや来店カウントデータの精度を上げることが、すべての施策の起点となります。

「買い上げ率が伸びない原因がわからない」「数字の管理が属人的で改善が進まない」といった課題を感じているご担当者様は、まず「現状の見える化」から一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

編集者

株式会社エイジス

株式会社エイジスは、国内棚卸サービスのリーディングカンパニーとして、全国83拠点を展開。3,000社を超える企業との取引実績を誇り、確かな信頼関係を基盤に、店舗運営や店舗販促活動を多面的に支援しています。

さらに、アジアを中心に海外にも営業拠点を広げ、グローバルな小売業支援にも取り組んでいます。米国では、アジア各国の小売業ニーズに応えるためのサービス開発や研究にも力を入れており、 国内外で蓄積したノウハウを活かして、流通業界の課題解決に貢献しています。

AJIS

監修者

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦美浩

1987年に東北大学卒業後、損害保会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長などを経て、2011年には商業界取締役就任 チェーンストア各社の社内教育を担当する教育支援事業などを担当。その後、2017年に独立しロジカル・サポート㈱を設立し、2020年にエイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)。長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。 従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。 従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦美浩

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