人件費は固定費?固定費と変動費の違いや人件費を変動費に変える方法を解説

人件費は固定費?固定費と変動費の違いや人件費を変動費に変える方法を解説

「人件費は固定費である」という考え方は、企業経営において長らく常識とされてきました。

しかし、ドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターといった流通・小売業では、需要変動や人手不足、競争激化といった課題により、その前提自体を見直す必要が出てきています。

この記事では、人件費が固定費とされる理由や変動費との違い、そして外注化やアウトソーシングを活用して人件費を変動費に変え、強い経営体質を築くための具体的な方法をご紹介いたします。

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人件費は固定費と変動費どっち?

結論からいうと、一般的な雇用形態(正社員など)における人件費は「固定費」として扱われます。

固定費とは、売上の増減に関わらず毎月一定額が発生する費用のことです。
月給制の従業員を雇用している場合、店舗の売上が予算を下回ったとしても、支払う給与額を即座に減らすことは困難です。
そのため、多くの企業にとって人件費は経営を圧迫する最大の固定費となっています。

一方で、パートタイマーやアルバイトスタッフの給与などは、業務量に応じて変動させることができれば「変動費」に近い性質を持ちます。ただしパートタイマーなどの雇用はそう簡単に増やしたり減らしたりすることは困難なので、実際は「固定費」に近い形態になっています。

固定費と変動費の違い

経費のバランスを適切にコントロールするためには、固定費と変動費の違いを明確に理解しておく必要があります。

固定費

改めて、固定費とは売上や操業度に関係なく発生する費用(例:正社員給与、店舗賃料、減価償却費など)を指します。

売上が減少した際でも削減が難しく、経営の柔軟性を欠く要因となります。

変動費

一方、変動費とは、売上や操業度に比例して増減する費用のことです。たとえば、仕入原価や販売手数料、外注費などが変動費に当たります。

売上が下がれば費用も下がるため、利益を確保しやすい構造になります。

ドラッグストアやスーパーマーケットなどの小売業では、季節やセール、棚卸などのイベントによって業務量に大きな波があります。この波をすべて「固定費(正社員)」で賄おうとすると、閑散期に過剰な人件費が発生し、利益を損なう原因となります。

人件費を固定費から変動費に変えるメリット

人件費の「変動費化」を進めることで、以下のようなメリットが得られます。

コストの削減につながる

業務量に合わせて最適な人員を配置することで、閑散期における無駄な待機時間や過剰な人件費をカットできます。

結果として、損益分岐点を下げ、より低い売上でも利益が出る体質へと改善されます。

柔軟な経営ができる

新店の立ち上げや大規模な棚卸、改装など、一時的に膨大なリソースが必要な際でも、変動費化された体制があれば、迅速な対応が可能です。

固定の組織を肥大化させることなく、ビジネスの規模拡大に合わせた機動的な運用が可能になります。

リスク管理がしやすくなる

不況時など、急激な消費環境の変化が起きた際、固定費が高いと倒産リスクを高めてしまいます。

人件費を変動費化しておくことで、売上の低下に合わせてコストを自動的に抑制できるため、経営の安定性を高められます。

人件費を固定費から変動費に変える方法

具体的にどのようにして人件費を変動費化すれば良いのでしょうか。

ここでは、代表的な3つの手法を紹介します。

成果報酬型の給与体系を導入する

給与の一部を売上や目標達成度に応じたインセンティブ形式にすることで、人件費の一部を変動費化できます。

ただし、労働基準法や従業員のモチベーションへの配慮が必要であり、導入のハードルは比較的、高いといえます。
また、個人の業績が数値化されにくい職種(事務職など)には向いていません。

正規雇用以外の労働力を柔軟に活用する

実際に小売業の現場ではパートタイマー、アルバイトや派遣社員のシフト調整、または短期のギグワークなどを活用し、必要な時に必要な人数だけを確保する体制を整える方法です。これを「パート比率の向上」といった表現をしたりします。

業務量(実際は「必要な総労働時間=総人時数<そうにんじすう>)をより正確に計測し、その業務量に合わせてパートタイマーの人数と労働時間を充てることができれば、「売上高≒総人時数」となり費用が一定で運用することが可能になります。

業務委託やアウトソーシングを活用する

最も効果的かつ即効性があるのが、専門業務の外注化(アウトソーシング)です。

たとえば、店舗の棚卸業務や商品陳列、ラウンダー業務などを外部の専門会社に委託することで、人件費を「外注費(変動費)」として処理できます。

ただし、非正規雇用の活用にはいくつかの課題も存在します。
たとえば、教育コストや業務品質のばらつき、定着率の低さなどです。
これらの課題を解決するためには、業務の標準化やマニュアル整備、適切な教育体制の構築が不可欠です。

人件費を固定費から変動費に変える際の注意点

人件費の変動費化は、経営の柔軟性を高める強力な手段ですが、実行にあたってはいくつかの重要な注意点があります。

サービス品質とブランドイメージを維持できるよう努める

安易な外注や短期雇用の活用を繰り返すと、作業クオリティにバラつきが生じる恐れがあります。

顧客満足度が重要視されるドラッグストアやスーパーマーケットでは、品質の低下が直接ブランドイメージの毀損につながるため、マニュアルによる作業レベルの維持や信頼できるパートナー選定が不可欠です。

労働法規を遵守する

業務委託を活用して変動費化を図る際は、実態が「派遣」とみなされないよう、指揮命令系統に注意を払う必要があります。

外注先や業務請負先のスタッフへ、店舗側から直接、指示を出したり、出退勤・勤務時間の管理を行ったりすることのないよう、注意しましょう。

まとめ

人件費を固定費から変動費へと転換することで、変化の激しい小売・流通業界において勝ち残れる可能性が高まります。

アウトソーシングを賢く活用することで、コスト削減と経営の柔軟性を同時に実現し、強い組織基盤を構築しましょう。

特に、全国規模での店舗展開を行う大手企業様においては、専門性の高い外部パートナーとの連携が、商品部・店舗運営部の負担軽減と利益最大化の鍵となります。

たとえば、エイジスグループでは、繁忙期やピークタイムまでに入荷した商品の補充・品出しを行う「集中補充(商品補充・品出し)」サービスを提供しております。

人件費を変動費化しつつ、品切れなく、売上を取りこぼさない店舗づくりを実現可能です。

「集中補充(商品補充・品出し)」について詳しくは、下記ページをご覧ください。
https://service.ajis.jp/service/merchandising/display-replenishment.html



編集者

株式会社エイジス

株式会社エイジスは、国内棚卸サービスのリーディングカンパニーとして、全国83拠点を展開。3,000社を超える企業との取引実績を誇り、確かな信頼関係を基盤に、店舗運営や店舗販促活動を多面的に支援しています。

さらに、アジアを中心に海外にも営業拠点を広げ、グローバルな小売業支援にも取り組んでいます。米国では、アジア各国の小売業ニーズに応えるためのサービス開発や研究にも力を入れており、 国内外で蓄積したノウハウを活かして、流通業界の課題解決に貢献しています。

AJIS

監修者

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦美浩

1987年に東北大学卒業後、損害保険会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長などを経て、2011年には商業界取締役就任 チェーンストア各社の社内教育を担当する教育支援事業などを担当。その後、2017年に独立しロジカル・サポート㈱を設立し、2020年にエイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)。長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。 従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。 従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

エイジスリテイルサポート研究所 所長 三浦美浩

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