優越的地位の濫用とは?禁止行為の例や違反した場合のペナルティを解説
ドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターなどの流通業では、取引先との力関係が不均衡になりやすく、意図せず法令違反に該当してしまうリスクも高まっています。
さらに、原材料費や人件費の高騰により価格交渉が難しくなる中、適切な取引慣行の維持は企業の信頼性や持続的な成長にも直結します。
こうした背景を踏まえ、この記事では、優越的地位の濫用の定義や具体的な禁止行為の例、万が一、違反した場合に課されるペナルティについて、ご紹介いたします。
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優越的地位の濫用とは
優越的地位の濫用とは、自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える行為を指します。
これは「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)」によって厳格に禁止されている行為の一つです。また、独占禁止法とは別に一定の要件を満たす受託取引については、中小受託取引適正化法(取適法)によって規制されます。
特に、大手ドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターなどは、多くのサプライヤーにとって極めて重要な販売チャネルであるため、無意識のうちに相手方に対して優越した立場になりやすい傾向があります。
意図的な圧力がなかったとしても、結果として相手方に不当な負担を強いているとみなされれば、法的な規制の対象となるため、注意が必要です。
優越的地位とは
優越的地位とは、必ずしも市場を独占しているような巨大企業と取引をする中小企業だけを指すものではなく、大企業同士、中小企業同士の取引においても取引上の地位が優先していると認められるケースがあります。
取引の一方(例:小売業者)が、もう一方(例:卸売業者やメーカー)にとって、その取引を継続することが困難になった場合に経営上、大きな支障をきたすような関係性であれば、優越的な地位にあると判断されます。
具体的には、以下の要素を総合的に考慮して判断されます。
- 取引先にとっての当該企業への依存度(売上比率など)
- 市場における当該企業のシェアや地位
- 取引先にとっての取引先変更の可能性
- その他、取引先が当該企業と取引する必要性を示す具体的事実
商品部の担当者としては、「相手にとって自社との取引がどれほど重要か」という視点を常に持つことが、リスク回避の第一歩となります。
優越的地位の濫用の例
独占禁止法で定められている3つの禁止行為を解説します。
購入・利用の強制
取引先に対し、その商品やサービスを扱う見返りとして、自社のプライベートブランド(PB)商品や、特定の関連サービス(例:特定のシステム利用やイベントチケットなど)の購入を事実上、強制する行為です。
「購入・利用の強制」の小売業における例
- 「次の契約更新をする条件として、このPB商品を100ケース仕入れて欲しい」といった要請を行う。
経済上の利益を提供させる行為
取引の対価とは別に、金銭、サービス、その他の利益を不当に提供させる行為です。
「経済上の利益を提供させる行為」の小売業における例
- 根拠が不明確な「協賛金」の請求
- 新規オープン時における取引先従業員の無償での棚出し作業(人件費負担なしの派遣)の要請 など
相手方に不利益な取引条件の設定等をする行為
取引の内容や条件を一方的に決定、変更し、相手方に不当な不利益を与える行為です。
「相手方に不利益な取引条件の設定等をする行為」の小売業における例
- 納入後の不当な返品、当初の合意にない一方的な単価の引き下げ
- 一方的な支払い期日の不当な延長や対価の減額、商品等の不当な受領拒否など
特に原材料費が高騰している昨今、それに対する価格改定を目的とした商談の拒否や合理的な理由のない価格据え置きの強制もチェック対象となります。
違反した場合のペナルティ
優越的地位の濫用は、独占禁止法における「不公正な取引方法」の一つとされており、独占禁止法に違反した場合は、次のようなペナルティが課せられます。
排除措置命令
排除措置命令とは、公正取引委員会から、違反行為を速やかに停止し、再発防止策を講じるよう命じられる行政処分です。
この命令を受けると、企業名が公表されるため、ブランドイメージの大幅な失墜は避けられません。
課徴金納付命令
課徴金納付命令とは、違反行為によって得た不当な利益を没収する意味合いで、国庫に金銭を納付するよう命じられる処分です。
優越的地位の濫用の場合、対象となる取引額の1%(一定の条件下では加算・減算あり)が課徴金の対象となります。
※課徴金額が100万円未満の場合は、課徴金納付命令は行われません(独占禁止法20条の6)。
排除措置命令に従わない場
万が一、下された排除措置命令に従わない場合には、刑事罰(懲役や罰金)の対象となり、「2年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」(独占禁止法90条3号)が科される恐れがあります。
法人の両罰規定も設けられており、違反行為をした者(代表者・代理人・使用人その他の従業者)が排除措置命令に従わない場合は、法人にも「300万円以下の罰金」が科される恐れがあります。
まとめ
優越的地位の濫用を防ぐためには、「これまでの慣行だから」などと安易に判断せず、常に法令遵守の意識を持つことが重要です。
透明性の高い取引、契約書に基づいた明確な合意形成、取引先を「共創パートナー」として尊重する姿勢が、持続可能な店舗経営を支えます。
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