ドラッグストアの人手不足の理由と対策方法
少子高齢化による労働人口不足が懸念されており、働き方改革などの対策も実施されていますが、業界を問わずに人手不足が広がっています。
もちろん、ドラッグストアも例外ではありません。ドラッグストアでは特に、新店舗の出店が相次いでいたり、業務負担の重さから離職が多かったり、その一方で経営課題として人件費の削減が掲げられているといった理由から人手不足が進んでいます。
人手不足を放置すれば、一人ひとりのスタッフにかかる負担がどんどん増していき、さらに離職につながるという悪循環を断ち切ることができません。
そこで本コラムでは、ドラッグストアにおける人手不足の原因と対策方法について、ご紹介いたします。
小売業界の人手不足の現状
まずは、ドラッグストア業界が所属する小売業全体の人手不足の状況について、厚生労働省が毎月、発表している「一般職業紹介状況」の「産業・事業所規模別新規求人数 パート含む(実数)」を確認していくと、2020年1月以降、コロナ禍により有効求人倍率は1を切っていたものの、2021年6月以降は再び1を超え、ほぼ横ばいで推移しています。
コロナ禍でマイナスの影響を受けたものの、現在は人手不足気味であるということがいえます。
「政府統計e-Stat」の「賃金構造基本統計調査」の中から「小売業と全産業の月給平均(残業代含む)」を確認してみると、小売業の賃金は、全産業の月給平均を下回っていることがわかります。
これが、小売業界における人手不足の大きな要因となっているといえます。
ドラッグストアの人手不足の理由
小売業の中でも特にドラッグストアの場合、店舗数の増加や人件費の削減といった理由が人手不足を加速させています。
薬剤師の人手不足
薬剤師については、厚生労働省の「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」の推計によれば今後、余剰する可能性が指摘されているものの、日本の薬剤師を取り巻く独特の環境から、少なくとも現状と近い将来では不足した状態が続くと考えられます。
日本では、調剤業務のすべてを薬剤師が一貫して担当することが多く、業務負荷が高い上に、一人の薬剤師が一日に取り扱える処方箋の上限が40枚となっています。
また、薬剤師のうち女性の比率が高く、男性よりも結婚・出産・育児といったライフイベントでの離職が多いことから、薬剤師が不足しがちです。
特に地方においては、都心部に比べると薬剤師が不足する傾向が見られます。
店舗数の増加
一般社団法人 日本チェーンドラッグストア協会の調査結果によれば、ドラッグストアの店舗数は調査開始の2000年から毎年、増加しており、2022年度は前年増359店舗の2万2,084店舗となりました。
店舗数が増えれば、単純に新店舗に新たな人員が必要になります。また、軌道に乗るまでの間は、教育係やヘルプ人員を既存の店舗から派遣する必要もあるでしょう。このため、新規店舗を出店することで、人手不足は加速します。
人件費の削減
医薬品を販売するドラッグストアでは、医薬品登録販売者が必要です。
また、調剤を行っているドラッグストアであればもちろん、OTC医薬品のみを扱っているドラッグストアであっても、要指導医薬品を販売する際に薬剤師の配置が必要です。
こうした有資格者を配置するためには、通常の販売スタッフを雇用するよりも人件費がかかります。
このような理由から、ドラッグストアではコストに占める人件費の割合が高くなりやすく、それゆえ、人件費を削減しようと、一般のスタッフにかかるコストのカットに矛先が向きがちです。
その結果、ドラッグストアでは、少ない人数での店舗運営が強いられることになります。常に人手が足りず、スタッフ一人ひとりにかかる業務負荷が大きくなりがちです。
深夜営業を行うドラッグストアも少なくありませんし、医薬品以外で扱う日用品の中には液体洗剤やペットフードなどの重量があるものも多く、品出しからレジ打ちまで幅広い業務をこなさなければなりません。
さらに、シフト制で休日が固定されない点なども働きづらさにつながり、離職者が多く、定着しにくい傾向があります。
ドラッグストアの人手不足を解消する対策方法
では、ドラッグストアにおける人手不足を解消するには、どのような対策を取れば良いのでしょうか?
業務を効率化する
まずは、業務を効率化して、従業員一人ひとりにかかる負荷を減らしましょう。
たとえば、セルフレジや在庫管理システムといったITツールを導入したり、品出し作業や棚卸しといった業務をアウトソーシングしたりする方法があります。
このような方法で業務効率化を図ることで、少ない従業員数でも無理なく店舗運営が回るようになると同時に、従業員の負担を減らして離職を抑えられます。
待遇の改善
給与を引き上げたり福利厚生を充実させたりと、従業員の待遇を改善することで、求人募集でほかのドラッグストアや小売店との競争に勝ち、人材を獲得しやすくなるでしょう。
また、既存の従業員たちも、待遇が改善されることで離職を考えにくくなるでしょうから、定着率の向上にもつなげられます。
労働環境の改善
ドラッグストアでは、人手不足や深夜営業などのため、長時間労働が横行しています。また、従業員一人がカバーしなければならない業務範囲が広く、業務負担が大きくなっています。
こうした労働環境を改善するには、たとえば、シフトを工夫して従業員のプライベートの予定や希望に合わせて柔軟に組めるようにしたり、従業員が休憩中にリフレッシュできる場所や飲料水、軽食などを用意したり、健康保険や健康診断、ストレス管理プログラムなどを提供して従業員の健康・福祉をサポートしたりする方法が考えられます。
また「業務を効率化する」でご紹介したように業務を効率化して負荷を減らすことも、労働環境の改善の一つです。
求人方法の見直し
もし、人手不足を解消しようと求人広告を出稿しているにも関わらず、採用がうまくいかずに人材を確保できていないという場合は、求人方法を見直すと効果が出る可能性があります。
たとえば、ブランド力や給与・福利厚生、職場の魅力といったアピール要素を十分に表現できていなければ、応募者を惹きつけることはできません。
また、手段を見直すことも大切です。たとえば、若年層を採用したい場合、従来のようにハローワークや求人誌、求人サイトだけでなく、SNSを活用した採用活動を行うことで効果が出るかもしれません。従業員のエンゲージメントが高い場合は、紹介制度を強化することで、質の良い応募者を集められるでしょう。
雇用の幅を広げる
前項とも関連しますが、多くの職場では一人で長時間働ける従業員を求めるでしょう。週に1日しか働けない、1日に数時間しか働けないパート従業員を何人も雇用するのは、シフト管理や人材管理などに手間がかかります。
しかし、人手不足が深刻化しているドラッグストアは、そのような贅沢をいえる状況にはありません。子育てや介護と仕事の両立を希望する主婦を始め、高齢者や学生アルバイト、外国人労働者など、雇用管理が多少、煩雑になる可能性のある労働者にまで雇用の幅を広げましょう。
ドラッグストアの商品補充業務を外注することで、スタッフの省人化が可能に
人手不足に悩むドラッグストア様に、ご提案したい解決方法の一つに、商品補充業務のアウトソーシングサービスのご利用が挙げられます。商品補充業務のアウトソーシングとは、ドラッグストア様の従業員に代わって商品補充を代行するサービスです。
たとえば、エイジスグループでは、「集中補充(商品補充・品出し)」のサービスを提供しております。
定番の新規入荷商品および店舗から指示のあったエリアに対して、開店前の早朝時間帯に補充作業を行います。このため、営業中の来店客に影響が出にくくなっております。
詳しくは、下記ページをご覧ください。
集中補充(商品補充・品出し)
商品補充業務を外注することで、従業員が接客に専念できるようになり、省人化が可能になるとともに、従業員一人ひとりにかかる業務負担も軽減できるため、従業員満足度の向上にもつながります。その結果、離職率低下、定着率向上を実現でき、人手不足に歯止めをかけられるでしょう。
まとめ
ドラッグストアでは、出店ラッシュや人件費の削減といった背景から慢性的な人手不足に悩まされています。業務範囲が多岐にわたり、深夜営業や人手不足から長時間労働を強いられやすいため、従業員には少なくない負荷がかかっています。
このようなドラッグストアにおける人材不足を解消するためには、業務を効率化して少ない人数で店舗運営を回せるように工夫したり、従業員にかかる負荷を抑えたり、待遇や労働環境を改善したり、求人対象や方法を見直すといった方法が挙げられます。
現状の従業員に対して業務があふれている場合は、一時的にでも業務をアウトソーシングしてしまう方法がおすすめです。商品補充業務の外注をご検討の際は、40年以上、日本の小売業を支えてきたエイジスグループまで、ぜひお気軽にご連絡ください。