備蓄品の管理、Excelで大丈夫?

2025年夏、災害対策基本法の改正により、自治体には備蓄品の管理と公表が義務化されることになりました。
これにより、従来のExcel台帳による管理方法に限界を感じている自治体も少なくありません。
本コラムでは、備蓄品管理の現状と課題、そして今求められる「見える化」と「説明責任」に対応するための新たな選択肢について、わかりやすく解説します。
1.備蓄状況の公表が義務化されました
2025年2月14日、政府は「災害対策基本法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、同年夏の出水期前の施行を目指しています。
この改正により、地方公共団体の長は、毎年1回、物資の備蓄状況を公表することが義務付けられました。これは、能登半島地震の教訓を踏まえた災害対応力の強化策の一環です。
この新たな義務により、自治体は備蓄品の管理体制を見直す必要に迫られています。
この改正案により、自治体には以下のような対応が求められます。
必要な対応 | 内容 |
備蓄品の情報整理 | 品目・数量・保管場所・使用期限などのデータを正確に把握 |
公表用データの整備 | 住民にわかりやすく伝えるためのフォーマットや表現の工夫 |
定期的な更新体制の構築 | 年1回の公表に向けたスケジュール管理と責任体制の明確化 |
システム化の検討 | エクセルでは対応が難しい場合、クラウド型管理ツールの導入も視野に |
―義務化される内容(概要)
- 対象:食料・飲料水・生活必需品などの災害用備蓄品
- 公表内容:品目、数量、保管場所など
- 目的:住民への説明責任と災害対応の透明性向上
2.備蓄状況の管理状況の実態は?
多くの自治体では、災害用備蓄品の管理に「Excel台帳」が使われています。
実際、全国の自治体の約45.5%がExcelリストで備蓄品を管理しているという調査結果もあります。
しかし、情報を一括で把握したい場合や共有する際に膨大な時間を要したり、状況の変化や引継ぎが上手く行われず後者にとって使いづらい物になったりと様々な問題が起きています。
出典:プラス株式会社ジョインテックスカンパニー「防災用品の備蓄・管理に関する調査」
プラスが提供する防災・BCP関連ソリューションについては、以下のURLよりキキタイマガジンをご覧ください。https://kikitai.biz/jtx/
3.Excel管理の限界と実際の困りごと
備蓄品管理には、在庫情報・倉庫情報・入出庫管理・期限管理・その他補助情報など多岐にわたって様々な情報把握を必要としますが、上記の場合には複数のExcelを使い分けたり、複雑なマクロを組むことで属人化した後に、上手く回らなくなるといった状況を耳にします。
また、Excel台帳では他のシステムへ上手く連携できないケースも多く、更新や共有に時間が掛かり苦労されることもあるのではないでしょうか。
例えば内閣府から出ている「物資調達・輸送調整等支援システム」もその一つです。連携がとれないばかりに、職員に二重の不可がかかっているのが現状です。
効率をよくするためにシステム化しているはずが、余計に負担を増やしていることは非常にナンセンスだと感じます。
4.Excelから脱却する選択肢と選び方
そもそもExcelは表計算ソフトのため、データを視覚的に分析する場合には有効ですが、大量のデータ管理やデータベース機能としては不向きであり、ファイル単位でのアクセス権限管理も難しくセキュリティ面での課題もあります。
備蓄品管理の効率化と法令対応の両立には、専用の管理ツールやシステムの導入が有効です。以下に代表的な選択肢と選定ポイントを紹介します。
5.主な管理方法と特徴
管理方法 | 特徴 | 向いている自治体 |
クラウド型備蓄品管理システム | リアルタイム共有・アラート機能・外部連携 | 中〜大規模、複数部署で運用 |
BIツール(Power BIなど) | データの可視化・分析に強い | 分析・報告が多い自治体 |
ノーコードツール | 柔軟なカスタマイズが可能 | 小〜中規模、ITリテラシーが高い |
専用在庫管理ソフト | バーコード・期限管理に対応 | 倉庫数が多い自治体 |
―選定のポイント
- 管理対象の規模(品目数・倉庫数)
- 担当者のITスキルと異動頻度
- 他システムとの連携の必要性
- 予算と導入スケジュール
6.エイジスの備蓄品管理ソリューション
エイジスでは、自治体向けに以下のような機能を備えた備蓄品管理システムをご提案しています。
- 必要な情報をワンクリックで出力
- 使用期限切れの備蓄品を自動でアラート通知
- 「物資調達・輸送調整等支援システム」との連携対応
▼レイアウト画面例
法改正により、備蓄品管理は「見える化」と「説明責任」が求められる時代に入りました。
Excel管理に限界を感じている自治体様は、ぜひこの機会にシステム化による業務効率化と法令対応の両立をご検討ください。
備蓄品の一元管理を見直したいとお考えの自治体様は、ぜひエイジスにご相談ください。
作成:株式会社エイジス