来店頻度アップが重要な理由と方法を解説
小売業で売上をアップするには、
・顧客数をアップする
・顧客単価をアップする
・来店頻度をアップする
の一つ以上を実現する必要があります。
このうち、比較的、取り組みやすいのが3つ目の「来店頻度をアップする」です。
では、具体的にどのような施策を行えば、来店頻度を上げることができるのでしょうか?
本コラムでは、来店頻度アップが重要な理由や、来店頻度をアップする方法について解説いたします。
来店頻度アップが重要な理由
改めて、なぜ来店頻度アップが重要なのでしょうか?
その理由は、大きく次の3つです。
LTVを向上するため
LTVとは、Life Time Valueの頭文字を取ったもので「顧客生涯価値」と訳されます。1人の顧客が生涯でどれだけ自社の製品・サービスを利用してくれたかということを測る指標です。
小売店でいえば、1人の顧客が何度も来店して複数回、購買してくれれば、それだけLTVも伸びます。
LTVを延ばすことで、新規顧客を集めるためのプロモーションにかけるコストを節約しながら利益向上を目指せます。
顧客ロイヤリティを向上するため
前項とも関連しますが、顧客が何度も来店すれば、それだけ店舗や商品、店員のサービスに触れる機会も増加します。
その結果、商品やブランド、サービスなどについての理解も深まり、顧客ロイヤリティの向上が期待できます。
顧客ロイヤリティが向上することで、リピート率や購買単価が向上したり、良い口コミ評価で新たな顧客を呼び寄せてくれたりすることが期待できます。
競合他店に打ち勝つため
来店頻度が高ければ、単純に顧客が商品を目にする機会も増えます。すると、特定の人や物に繰り返し接することで好感度や評価が高まる「ザイオンス効果」により、親しみが沸いたり購買欲求が高まったりして、実際に購入する回数の増加が期待できます。
競合他店よりも自店舗の来店頻度が高ければ、「LTVの向上」や「顧客ロイヤリティの向上」との相乗効果もあり、売上において勝つことができるでしょう。
自店舗の来店頻度が低いと感じている場合は、早急に手を打つべきです。
来店頻度アップに関係するリピート率と顧客離反率
来店頻度アップへの取り組みに当たり、もう一つ知っておきたいのが「リピート率」と「顧客離反率」についてです。
どちらも、来店頻度アップの指標として使われます。
リピート率とは?
リピート率とは、新規顧客のうち、どのくらいの割合がリピーターになってくれたかを示す数値です。
リピート率が低ければ、初回の購入時に満足してもらえなかったり不快な思いをさせてしまったりしたということがわかります。逆に、リピート率が高ければ、店舗の品添えや価格、品質、サービスなどに満足していることがわかります。
リピート率は、以下の計算式で求められます。
一定期間内のリピート顧客数 ÷ 一定期間内の新規顧客数 × 100 リピート率と混同しやすいものとして「リピーター率」があり、こちらは一定期間の全顧客の中にリピーターがどれくらいの割合いるかを示す数値です。リピーター率も高い方が良いですが、あまり高いと新規顧客獲得数が少なすぎるケースもあり、一概に高ければ良いともいえません。
顧客離反率とは?
顧客離反率とは、一定期間内に顧客がどれだけの割合で離反したかを示す数値です。 数値が低ければ低いほど、顧客を維持できているということになります。
率は、以下の計算式で求められます。
一定期間内に離反した顧客数 ÷ 一定期間内の総顧客数 では、来店頻度アップのために、リピート率と顧客離反率、どちらを使えば良いのかというと、顧客離反率の方です。
なぜなら、リピート率には、「2回目まではリピートしたが、その後、離反してしまった」という顧客も含んでしまうためです。
一方、顧客離反率なら、長期的な視野で顧客の再来店を把握できます。
顧客のお店選びのポイント
来店頻度アップを図る上で、顧客がどのような店舗を選ぶ傾向があるのかも把握しておきたいところです。
顧客の自宅からの距離が近いこと
消費者は、自宅から距離の近い店舗を選んで買い物をすることが多いです。なぜなら、近い距離に店舗があることで、買い物にかかる時間や労力、交通費などを節約できるからです。
店舗が近くにあれば、買い忘れなどがあって、一日に何度か足を運ぶ必要があるような場合でも、来店が億劫になりにくいでしょう。
また、不良品や故障などのトラブルがあった際に、近くの店舗ならいつでも駆け込めるという安心感もあります。
こうした点を踏まえ、店舗の付近に居住する顧客に対する来店頻度の向上を目指すと良いでしょう。
商品・品揃えに魅力があること
消費者は、いつでも自分のニーズに合った商品に出会えたり、他店にはない商品を扱っていたり、商品の入れ替えが頻繁でいつも新しい商品を見つけられたりというように、商品や品揃えに魅力を感じている店舗に足を運びます。
自店舗のターゲット層のニーズや価値観を把握し、魅力を感じてもらえる商品を揃えることがポイントになるでしょう。
値付けにお得感があること
「給料日に自分へのご褒美を買う」といった特別なシチュエーションでもない限り、多くの人は少しでも金額の安い店舗を探して買い物をします。消費者に「こんなに良いものがこの値段で買えるなんて」と喜んでもらえるような、お得感のある値付けも、選ばれる店舗のポイントの一つです。
ただし、近隣の店舗やオンラインショップとの安易に価格のみで比較されるような価格競争に巻き込まれないためにも、アフターサービスなど付加価値の向上に努めましょう。
ターゲット層に配慮した工夫があること
たとえば、スーパーマーケットやドラッグストアなど、年齢層を問わずに幅広い消費者層が買い物に訪れるような店舗では、小さな子どもやお年寄りなどに配慮して、滑りにくい床材を使用してバリアフリー化したり、値段表示などを大き目の文字で掲示したり、エレベーターや手すりを設置したり、ベビーカーや車椅子が通りやすいように通路を広めにしたり、広めの多機能トイレを設置したり、子どもが遊べるキッズスペースを併設したりといった工夫が喜ばれます。
一方、10~20代の独身女性向けの店舗なら、カフェスペースやフォトスポットを併設したり、トイレにメイクルームを設置したり、若くておしゃれな店員を配置したりといった工夫が必要でしょう。
来店頻度をアップする方法
以上を踏まえて、顧客の来店頻度をアップするには、具体的にどのような方法があるでしょうか?
ここでは、主な施策を6つご紹介いたします。
リピーター向けの割引や特典を用意する
最も直接的にリピーターを増やすには、一度は購入もしくは来店経験のある顧客のみに割引や特典を用意する方法があります。
店舗内のみでチラシを配布したり、ポイントカードやアプリの保持者だけにキャンペーンを展開したりすることで、新規顧客ではないリピーターの来店や購入を促進します。
ポイント制度を導入する
店舗独自のポイント制度や、複数の企業・店舗が参加できる共通ポイントサービスへの加盟など、顧客が店舗で買い物をすることで得られるポイント制度を導入する方法です。
顧客は、貯めたポイントを商品・サービスと交換したり、金券として利用できたりとお得に利用することができます。
必ずしも購入しなくても、来店しただけでポイントを貯められるようにすれば、自ずと来店頻度はアップするでしょう。
ポイント交換のお得感から、顧客のロイヤリティを向上する効果も見込めます。
さらにポイント倍増キャンぺーンなどのプロモーションも併用することで、来店を促せます。
買い物以外の目的で利用できる施設を併設する
たとえば、カフェスペースやワークショップが可能なコミュニティスペース、子どもを連れて自由に過ごせるキッズスペース、ギャラリーといった、買い物以外の目的で訪れることができる施設を併設することで、来店頻度をアップさせられます。
店舗への愛着の向上や「ついで買い」が期待できます。
ワークショップなどのイベント開催する
上記と近いですが、店舗の商品などと関連したセミナーやワークショップを開催して、顧客に参加してもらうという方法です。
来店頻度をアップさせるとともに、商品・サービスへの理解を深めてもらえたり、店舗の専門性の高さを知ってもらえたりという副次的なメリットも期待できます。
オンラインで購入した商品を店舗で受け渡す
オンラインショッピングの市場が拡大しています。コロナ禍を経て、その利便性を実感した消費者も増えたでしょう。
来店頻度をアップすることを第一に考えれば、必ずしも実店舗で購入してもらう必要はありません。商品を選んで決済を行うまではオンラインショップで行い、受け取りのみを実店舗で行うことで、ついで買いや、店舗への親しみを醸成するといった効果が期待できます。
オリジナルアプリを導入する
店舗独自のスマホアプリを作成して顧客にインストールしてもらう方法です。
アプリからキャンペーンやセールなどのお知らせプッシュ通知で顧客へ届けられるため、来店を促して離反を防いだりファン化したりするのに役立ちます。
ただし、アプリのデジタル面の強みを最大限に引き出すには、無理にオフラインである実店舗へ誘導するのではなく、顧客とのコミュニケーションの一環として活用した方が良いでしょう。
アプリ上から問い合わせができるようにしておき、必要に応じてオンラインショップへ誘導するなどの工夫も大切です。
来店頻度アップにはエイジスで買い物しやすい店舗づくりを
来店頻度をアップさせるには、ご紹介したようにさまざまな方法があります。
ただ、これらの方法に成功して実際に来店頻度をアップさせることができても、買い物がしづらい店内だと、客足が遠ざかってしまう恐れがあります。
実際に顧客の視点に立って、入店から購買、退店までの流れを追い、買い物のしやすさやサービスレベルをチェックした上で改善に取り組むことが大切です。
ただ、こうしたチェックや改善を自店舗の人的リソースだけで実施するのは、多忙な店舗業務の傍らでは難しいものです。
そこで、専門家の手を借りるという方法もおすすめです。プロに依頼することで、専門の教育を受けた調査員が第三者の目線で調査を行ってもらえます。このため、同一の判断基準で客観的な評価が得られる点が最大のメリットです。
まとめ
オンラインショッピングの利用が拡大する昨今、実店舗の在り方も以前とは変化してきています。
ただ、来店頻度を上げることで顧客ロイヤリティや売上・利益を向上できるのは、オンラインショップでも実店舗でも変わりありません。来店頻度アップは、小売業界の大きなテーマの一つだといえるでしょう。
購買頻度をアップするためには、プロの手を借りて自店舗を診断し、改善につなげることが大切です。
エイジスでは、買い物しやすい店舗づくりのための調査やアドバイスを提供しております。
来店頻度をアップさせたい店舗様、店舗改善に取り組みたい店舗様は、お気軽にご相談ください。