ABC分析とは?手順やパレート図作成方法についても解説
ABC分析とは、売上や利益、販売数量などのデータをもとに商品を重要度別に分類し、優先的に管理すべき商品を明確にするための手法です。
小売店では、カテゴリーマネジメントや棚割り、発注精度の向上、在庫適正化など、さまざまな業務で活用されています。
ドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターなどの小売店では、数万点から数十万点もの商品を取り扱うことも珍しくありません。
しかし、すべての商品を同じ基準で管理していては、発注や在庫管理、売場づくりの効率が低下し、欠品や過剰在庫の発生につながる恐れがあります。
そこで多くの企業が活用している分析手法が「ABC分析」です。
また、ABC分析は商品の分類だけでなく、パレート図を作成することで売上構成を視覚的に把握できるため、データに基づく意思決定を行いやすくなることも大きな特徴です。
本記事では、ABC分析の基本的な考え方から、パレートの法則との関係、具体的な分析手順、パレート図の作成方法、活用事例、実施時の注意点までをわかりやすく解説します。
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ABC分析とは
ABC分析とは、売上金額や利益額、販売数量などの数値をもとに商品を重要度別に分類し、管理の優先順位を決める分析手法です。
在庫管理や商品管理、発注業務などで広く活用されており、小売業では特に重要な分析方法として知られています。
重点分析と呼ばれることもあり、重点管理を行って売上機会の損失を防止するために活用できます。
ドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターでは、数万点以上の商品を取り扱うことも珍しくありません。
しかし、すべての商品を同じ管理方法で運用すると、管理コストが増加するだけでなく、売れ筋商品の欠品や、売れ行きの悪い商品の過剰在庫につながる可能性があります。
そこで役立つのがABC分析です。
ABC分析では、商品を売上や利益などの実績順に並べ、累積構成比からA・B・Cの3つのグループへ分類します。
- Aグループ…売上や利益への貢献度が高く、重点的に管理すべき商品(約20%の商品で売上全体の約70~80%)
- Bグループ…一定の売上を維持している商品(約30%の商品で売上全体の約15~20%)
- Cグループ…売上構成比が小さく、管理方法を見直す対象となる商品(約50%の商品で売上全体の約5~10%)
もちろん、この割合は業種や企業によって異なるため、自社の商品構成や販売実績に合わせて設定することが重要です。
ABC分析の結果をもとに発注頻度や安全在庫、棚割り、販促施策などを決定することで、限られた人員でも効率的な商品管理を実現できます。
ABC分析の「パレートの法則」とは
ABC分析の考え方の基礎となっているのが、「パレートの法則(80対20の法則)」です。
パレートの法則とは、「全体の成果の約80%は、全体の約20%の要素によって生み出される」という経験則を指します。
小売業で考えると、
- 売上の約80%は上位20%の商品が生み出している
- 利益の大半は一部の商品が占めている
- 来店客の多くは人気商品を目的に来店している
といった傾向が見られることがあります。
もちろん、必ず80対20になるわけではありません。
しかし、多くの小売企業では、一部の人気商品が売上の大部分を占める傾向があり、この考え方を商品管理へ応用したものがABC分析です。
ABC分析では、売上順に商品を並べ、累積構成比を算出します。
その結果をグラフ化したものが「パレート図」です。
パレート図は、
- 商品ごとの売上
- 売上構成比
- 累積構成比
を同時に可視化できるため、どの商品を重点的に管理すべきかを一目で判断できます。
数値だけでは把握しにくい売上構造を視覚的に理解できることから、多くの企業で経営判断や商品戦略に活用されています。
ABC分析のメリット
ABC分析を活用することで、次のようなメリットが期待できます。
重要度の把握
ABC分析を活用する最大のメリットは、商品の重要度を客観的なデータで把握できることです。
経験や勘だけで商品管理を行うと、担当者によって判断基準が異なり、発注量や売場づくりにばらつきが生じることがあります。
一方、ABC分析では売上や利益などの実績データをもとに分類するため、管理基準を標準化できます。
たとえば、Aグループの商品は、
- 欠品を防ぐため在庫を多めに持つ
- 販売状況を毎日確認する
- 売場の目立つ位置へ配置する
といった重点管理を行うことで、売上機会の損失を防止できます。
一方で、Cグループの商品は在庫数量や発注頻度を減らすなど、商品ごとに適した管理方法を検討しやすくなります。
在庫管理の効率化
ABC分析は在庫管理の効率化にも活用できます。
すべての商品を同じ頻度で発注・棚卸・在庫確認していると、多くの時間と人手が必要になります。
しかし、ABC分析によって重要度を分類すれば、
- Aグループは毎日管理
- Bグループは週単位で管理
- Cグループは月単位で管理
など、管理レベルを変えることができます。
その結果、担当者は売上への影響が大きい商品へ集中できるため、業務効率が向上します。
また、人気商品の欠品防止や、売れ行きの悪い商品の発注抑制にもつながるため、在庫回転率の改善や保管コストの削減も期待できます。
ABC分析の手順
ABC分析は、一般的に次の4つのステップで行います。
データ収集
まず、分析対象を明確にします。
売上金額で分析することが多いですが、利益額で分析するのか、販売数量で分析するのかによっても、得られる結果は異なります。
一般的にはPOSシステムや販売管理システムから、
- 商品コード
- 商品名
- 売上金額
- 販売数量
- 粗利益
- 在庫数量
などのデータを取得します。
分析期間も重要です。
月次・四半期・半年・年間など、目的に応じて設定することが大切です。
たとえば、季節商品の多い小売店では、年間データだけで判断すると商品の重要性を正しく評価できないことがあります。
そのため、季節ごとにABC分析を実施する企業も少なくありません。
売上累計構成比の計算
データを収集したら、売上金額の高い順などで商品を並べます。
次に、
- 売上構成比
- 累積構成比
を計算します。
たとえば、売上総額が1億円で、ある商品の売上が500万円だった場合、その商品の売上構成比は5%となります。
さらに上位商品から順番に構成比を積み上げていくことで、累積構成比を求めます。
この累積構成比が、A・B・Cグループを分類する基準になります。
グループ分け
累積構成比を算出したら、あらかじめ設定した基準に従って商品をA・B・Cの3つのグループへ分類します。
一般的には、以下のような基準が採用されます。
- Aグループ…累積構成比70~80%程度
- Bグループ…累積構成比80~95%程度
- Cグループ…累積構成比95~100%程度
たとえば、1,000商品のうち200商品がAグループに分類された場合、その商品群が売上全体の約80%を占めていることもあります。
分類後は、それぞれのグループに応じて管理方法を変えることが重要です。
たとえば、Aグループの商品は売上への影響が大きいため、欠品防止を最優先とし、販売状況や在庫状況を小まめに確認します。
一方、Bグループは販売状況を継続的に観察しながら適正な在庫を維持し、Cグループは発注頻度や在庫量の見直し、販売方法の改善などを検討します。
パレート図の作成
グループ分けが完了したら、分析結果を視覚的に把握するためにパレート図を作成します。
パレート図については「ABC分析の『パレートの法則』とは」でもお伝えしましたが、棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた図であり、棒グラフは各商品の売上金額や販売数量、折れ線グラフは累積構成比を表します。
近年では、POSシステムやBIツール、在庫管理システムにパレート図作成機能が搭載されているケースも多く、分析作業を効率化できます。
パレート図を活用すると、「どの商品までがAグループなのか」「売上がどのような商品構成になっているのか」を視覚的に確認できるため、商品会議や経営会議などでも共有しやすくなります。
ABC分析の注意点
ABC分析を活用する際は、以下の3点に注意しましょう。
流行商品や季節限定商品の影響を考慮する
「データ収集」でもお伝えしましたが、ABC分析は過去の販売実績をもとに分析するため、季節や流行の影響を受けやすい点に注意が必要です。
たとえば、夏場の冷感用品や冬場の暖房用品、花粉対策商品、年末年始の商品などは、年間を通して見ると売上構成比が低くなる場合があります。
しかし、販売時期には店舗の売上を大きく左右する重要な商品です。
そのため、年間データだけで判断するのではなく、月別・四半期別・シーズン別など複数の期間でABC分析を実施すると、より実態に即した分析が可能になります。
Cグループの商品が重要な場合がある
Cグループに分類された商品が、売上構成で占める割合が低いからといって「不要な商品」と判断することは避けましょう。
なぜなら、
- 来店動機となる商品
- 品揃えを充実させるための商品
- 関連商品の販売につながる商品
- 地域特性に合わせた商品
などは、売上構成比が低くても重要な役割を果たしている場合があるからです。
また、ドラッグストアでは特定の医薬品、ホームセンターでは専門性の高い部品や工具など、販売数量は少なくても顧客満足度の向上に欠かせない商品もあります。
そのため、商品の役割や戦略的な価値も考慮しながら判断することが大切になってきます。
ABC分析だけでなくさまざまな視点から分析する
ABC分析は非常に有効な分析手法ですが、万能ではありません
売上や利益だけで商品価値を判断できるわけではないからです。
たとえば、ほかの
- 利益率分析
- 在庫回転率分析
- クロスABC分析(売上高を横軸に粗利益高を縦軸にして9のマトリックスに当てはめる法)
- RFM分析(顧客分析)
- カテゴリー分析
- 地域別販売分析
などと組み合わせることで、より精度の高い商品戦略を立案できます。
ABC分析を基礎データとして活用しながら、多角的な視点で商品政策を検討することが望ましいでしょう。
小売業界でのABC分析の活用法
ドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターなど多品種を扱う小売業では、ABC分析を以下のようなさまざまな業務に活用できます。
発注業務の最適化に
代表的な活用例として挙げられるのが、発注業務の最適化です。
Aグループの商品は欠品すると売上への影響が大きいため、発注頻度を高めたり、安全在庫を多めに設定したりすることで販売機会の損失を防ぎます。
一方、Cグループの商品は発注ロットや在庫数量を見直すことで、過剰在庫を抑制できます。
棚割りや売場づくりに
また、棚割りや売場づくりにも活用できます。
Aグループの商品を来店客の目に留まりやすい位置へ配置し、Bグループ・Cグループとのバランスを考慮した売場構成にすることで、売上向上が期待できます。
販促施策の立案に
さらに、販促施策の立案にも役立ちます。
売れ筋商品は安定供給を重視し、伸ばしたいBグループ商品には販促を実施するなど、商品ごとに適切な販売戦略を立てやすくなります。
まとめ
ABC分析は、売上や利益、販売数量などのデータをもとに商品を重要度別に分類し、管理の優先順位を決める代表的な分析手法です。
商品数の多いドラッグストアやスーパーマーケット、ホームセンターでは、売れ筋商品の欠品防止や過剰在庫の削減、発注精度の向上など、多くの場面で活用されています。
一方で、ABC分析は過去データをもとにした分析であるため、季節商品や流行商品、新商品などは別の視点から評価する必要があります。
また、売上だけでなく利益率や在庫回転率、店舗特性なども踏まえ、多角的に分析することが重要です。
ABC分析を継続的に実施し、パレート図などを活用して商品構成を可視化することで、データに基づいた商品管理や売場改善を進めやすくなります。
さらに、分析結果を店舗運営へ確実に反映する仕組みを整えることで、在庫の適正化や売上向上につなげることができるでしょう。
ただし、ABC分析で課題が明らかになっても、店舗での売場変更や棚替え、品出しなどが計画通り実行されなければ十分な成果は得られません。
そのため、多店舗展開を行う企業では、分析結果を現場へ確実に反映する運用体制づくりも重要です。
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