備蓄品管理のミスを防ぐ!台帳と実物の一致方法
問題のある管理方法には、「ある」共通点が!?
私たちはこれまで、何千もの備蓄倉庫で管理業務をしてきました。
お客さまから「うちの備蓄品の管理で悪いところを指摘してほしい」というご要望もよくいただきます。
様々な問題・課題があるのですが、「悪い管理方法」にはいくつかの共通点があると感じています。
今回はそんな共通点のひとつをピックアップして解説します。
管理方法の問題点とは?
管理方法の問題点はズバリ、「台帳の名前と実物が一致していないこと」です。
私たちが作業をする際は、お客さまから事前に備蓄品の在庫表、いわゆる在庫台帳のデータをお預かりして倉庫に向かいます。
台帳に記載された品目と、実際に倉庫にある品物の突合(とつごう)をするわけですが、ここでよくあるのが、「品目と実物が紐づけられない」という事態です。
現場では自治体担当者とよくこんな会話が発生します。
「台帳にある『給食コップ(紙)』とはどれですか?」
「これですね」
「箱には『非常用カップ』と書いてありますよ」
「ではこちらです」
「これは『食器セット』ですね」
「えーと、ではこっち。ほら『コップ』と書いてあります」
「開けてみましたが中身はプラスチック製ですね…」
「すみません、過去の担当が購入したもので、どれか分かりません…」
「今まではどれで数えていたのですか?」
「さあ…、人によってそれぞれ違っていたようです。だから同数を納入したつもりが数がバラバラの理由はこれだったんですね…」
これはつまり、台帳と実物を紐づける手がかりが失われている状態です。
経年により担当者が変わって品物を特定(紐づけが外れる)できなくなると、品物の取り違えによるミスカウントが起きるようになります。
会話の例は、下記の悪循環が起こした結果だった、というわけです。
台帳と実物の名称が違う → 紐づけが外れる→ ミスカウント → 誤りの数量不足が発生 → 追加購入 → 2つの目コップが在庫される → 再び紐づけが外れる →ループ
台帳と実物の名前の齟齬はどれくらい起きている?
このような「名前のズレ」は非常に高い割合で発生しています。これまでの経験上、ほぼ全ての自治体で何かしらの齟齬が起きています。
このため、私たちは作業前に自治体担当者と一緒に「紐づけ」という作業をしていますが、担当者でもわからないケースが多く、問題の深刻さを感じます。
民間、例えばスーパーなどでは「JANコード」や「商品コード」を使って品物を管理していますが、箱の詰め替えを行うことも多い備蓄品では、コードによる管理が機能しないことも多くあります。
最も有効かつ簡単な解決策は「名前を揃える」
備蓄品の在庫台帳を作る際には、「箱に記載された名称と台帳の名称を必ず一致させる」ことを徹底する必要があります。少し違うけれどこれなら推察できるだろう…という思い込みはNGです。時が経つと分からなくなります。
私たちの経験や目撃例から、台帳と品物を紐づけをしやすくするための工夫をご紹介します。
①名前は必ず揃える。わずかな違いもNG (例:アルファ化米 → アルファ米)
②品番を発行し、箱に印刷するのは有効
③用途が直感できない商品名は品名にせず、メモなどを残す
(例:もれないシート → 品名は「防水幕」にし、箱に「防水幕」のラベルを貼る。さらに品物を特定するヒントとして台帳に商品名「もれないシート」とメモする)
④購入年度ごとに、箱の印刷インク色・ガムテープの色を変える
⑤分類ごとに色を決め、納入業者にシールを貼り付けてもらう
最も簡単にできる①から意識的に取り組むと、精度の向上につながります。
ぜひお試しください!
〈〈実例①〉〉
備蓄品台帳には
【品名:給食コップ ◯◯◯個】と記載されている。
実際には・・・
微妙に名称が異なる。
ぎりぎり推測ができるが、この他に「給食カップ(こちらはスチロール製丼)」もあり、混乱があった。
〈〈実例②〉〉
備蓄品台帳には
【品名:凝固・衛生袋セット 〇◯回】
実際には・・・
名前に共通点がなく、紐づけが困難。
作成:株式会社エイジス 白井