客動線を考えるメリットと考える際のポイントについて解説
客動線とは、顧客が店舗へ入ってからの動きを示した動線を指します。この客動線が短いか長いかによって、店舗の売り上げが大きく変わってきます。一般的に、動線は短ければ短いほど、効率が良いとされ、たとえば、店舗におけるスタッフの動線や、家庭における家事動線などは、短い方が優れています。しかし、客動線は長ければ長いほど、店舗への滞在時間が延び、売り上げアップに貢献します。
では、どのようにして客動線を伸ばせば良いのでしょうか?本コラムでは、客動線を考える際のポイントや注意点などをご紹介いたします。
客動線とは
客動線とは、顧客が店舗へ入ってからの動きを示した動線のことです。 そもそも動線とは、都市や建物の中などにおける人や物の動きを示す線のことで、都市や建物などを計画する際に、あらかじめ人や物の動きを予想しておくことで、事故や渋滞なく、人や物がスムーズに流れるように設計できます。
店舗においては、主にスタッフと顧客の2つの動線が存在します。スタッフの動線は短い方が良く、客動線は長い方が良いといわれます。スタッフは動線を短くすることで効率よく動くことができ、客動線は長くすることで店舗での滞在時間が延び、売上アップにつながるためです。
客動線を考えるメリット
店舗のレイアウトを計画する段階で客動線を考えておくことで、次の3つのメリットが期待できます。
売上が向上する
客動線が長ければ、顧客が店内で過ごす時間が長くなります。ということは、それだけ数多くの商品に触れるチャンスがあるということ。これにより、今まで認知していなかった商品との出会いが増え、潜在ニーズを満たす商品が購入に結びつく可能性も高まります。
また、滞在時間が長くなることで、既知の商品でありながら、特に購買予定のなかったものに対し、ザイオンス効果※によって購買意欲が高まり、顧客単価のアップも期待できます。
※ザイオンス効果…特定の人や物に繰り返し接することで好感度や評価が高まる心理効果のこと。
顧客満足度が向上する
客動線が長ければ、顧客が店内で過ごす時間が長くなると、それだけ商品に触れる時間が長くなり、商品説明などの情報も得やすくなります。これにより、顧客は商品への知識・理解を深め、自身のニーズに合っているかどうかを判断した上で自信を持って購入できるようになるため、顧客満足度の向上につながります。
また、滞在時間が長くなると、その分、スタッフの接客・サービスに触れる機会も増えます。このため、接客・サービスの質が高ければ、サービス面でも顧客満足度のアップにつながる でしょう。
さらに、滞在時間が長くなることで、先のザイオンス効果により、店舗に対する愛着が増すという効果も期待できます。
効率よく販売が行える
客動線を適切に設計した上で、これに合わせた商品を最適な量、陳列できるようになり、スタッフの品出しや販売業務を効率化することができます。
さらに、スタッフの動線が客動線と交差しないように設計することで、顧客がスタッフの動線を妨げることなく、買い物できるレイアウトを作れるため、顧客とスタッフの両方にとって動きやすく効率の良い動線を実現できます。
客動線を考える際のポイント
客動線を考える際でポイントとなるのは、次の4点です。
十分な長さがあること
まずは、顧客が十分な時間、店舗内にとどまって商品やサービスに触れられるよう、動線を長めに設計する必要があります。
急いでいるなどの理由で、最初から、長時間店内に滞在するつもりがまったくないという顧客を除き、商品や店内に興味を持ってもらったり、居心地の良さを感じてもらったりすることで、店舗で長い時間を過ごしてもらい、さまざまな商品を手に取って購買意欲を高めてもらうことが大切です。
スムーズに流れること
客動線を設計する際は、できるだけ顧客の回遊性を高め、さらに、入口から陳列棚を経て、レジ、出口へとスムーズに流れる動線を考える必要があります。
なお、回遊性とは、店舗や商店街などを顧客が歩き巡る際の回りやすさのことです。この回遊性が高いほど、顧客が多くの商品に触れ、購買意欲を高められるといわれています。 回遊性を高める際のポイントの一つが、袋小路を作らないことです。袋小路、つまり、行き止まりがあると、顧客はほかの商品の陳列棚やレジなどへ向かうのに、時間がかかってしまいます。このことに、ストレスを感じる顧客もいるでしょう。
また、いくら客動線が長く、回遊性も高かったとしても、顧客が陳列棚からレジにスムーズに進めなかったり、出口にたどり着けなかったりすれば、顧客はストレスを感じ、購買意欲や来店頻度が下がる恐れもあります。
入口から出口までスムーズに進めることと、回遊性を高めることを意識して客動線を設計しましょう。
顧客が求める商品を見つけやすいこと
「十分な長さがあること」とは逆の話になってしまいますが、“客動線が長いほど売上につながる”というのは正しい答えの一つであるとはいえ、目的の商品が決まっていて、それだけを購入してすぐに帰りたいと考える顧客も一定数、存在します。
こうした顧客のニーズに応えるには、やみくもに動線を長くするのは逆効果です。 入口から陳列棚のカテゴリが一目でわかるようにし、その先の動線がレジや出口まで効率よくスムーズに流れるような動線も作っておく必要があるでしょう。
曲がり角は曲線を描くこと
客動線が一直線になることは、まずありません。多くの場合、来店客は複数の曲がり角を経て、店舗の入口から出口までを抜けていくことになります。 また、角を曲がる際、直角に歩く人はいません。
そこで、客動線を考える際、曲がり角では曲線を描くことも念頭に入れて設計しましょう。 こうすることで、顧客はストレスなく曲がり角を移動できますし、衝突や接触を避け、安全に行き来できます。
客動線を考える際の注意点
客動線を考える際には、上記のポイントに加え、注意しなければならない点もあります。
スタッフの動線まで伸びないように注意する
冒頭でもお伝えしたように、客動線とは逆で、スタッフの動線はできるだけ短くすることで効率がアップします。
顧客が移動するエリアとスタッフが働くエリアがまったく別であれば問題ありませんが、スタッフはどうしても接客などで顧客のいるエリアに入らざるを得ません。そこで、ポイントになるのが、スタッフの動線と客動線が交差しないようにすること。
客動線は、入口から入って陳列棚の間を通り、レジを通って出口へ出るのが主な流れです。ここに、スタッフへの質問やトイレといったイレギュラーな動きがプラスされます。 一方、スタッフの動線となるのは、バックヤードからの品出しやレジ打ち、接客などです。
これらを踏まえて、フロアの配置を検討しましょう。なお、どうしても客動線とスタッフの動線が交差して、すれ違う必要の出てくる場面はありますので、その際にぶつかることなくスムーズに行き来ができるよう、通路の幅は最低120cm以上を確保しましょう。
客動線が長すぎると顧客のストレスにつながる
極端な例ですが、入口からレジを経て出口へ至るまでの動線が迷路のような1本道になっていれば、目的の商品だけを購入して素早く退店したい顧客も、関係のない陳列棚もすべて回らなくては出られず、大きなストレスがかかります。これが離反の原因となることも考えられます。
また、買い物に疲れて、途中で買うのをやめてしまったり、子どもなどが迷子になってしまったりする恐れもあります。
このため、客動線は適切な長さにとどめる必要があるでしょう。
客動線を考えた店舗レイアウトに変更する際におすすめの改装サービス
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もちろん、事前の打ち合わせから対応させていただきますので、店舗様側では複数の業者との対応に時間と手間をさく必要はございません。一ヵ所へ依頼するだけで済むため、費用も抑えられます。
店舗スタッフ様は、日常通りの営業を継続いただき、その間に当社のスタッフが回想作業を進めるため、販売機会ロスを抑え、ロイヤルカスタマーの流出防止が可能です。
まとめ
客動線は、店舗の売り上げを向上する上で考える必要のある要素の一つです。長ければ長いほど、顧客の店舗滞在時間も長くなり、その分、多くの商品に触れて購買意欲を高めることになり、売上に貢献します。
ただ、あまりに長すぎる客動線は、顧客のストレスにつながります。また、スタッフ動線と交差させないなど、いくつか注意点もあります。
こうしたポイントを押さえながら、ぜひ自店舗の顧客にとってより良い動線を設計してください。
もし、現状の動線があまり良くないということがわかったら、改装によって改善することをおすすめします。 その際は、専門の改装サービスを利用することで、販売機会ロスやロイヤルカスタマー流出を防止しながら効率よく改装が行えます。
エイジスの改装サービスも、ぜひ一度、ご検討ください。